【オンライン】285話:サーカス団の思いと恋の行方(11)
そういえば、自分のホームって初期のままで、殆ど変えていない。
色々と手を加えたのは庭とか、畑くらいだ。
「倉庫なんかもしっかりしたモノに変えられるはずです! そうすれば収穫や備蓄倉庫にもなるんですから、どういう風にするかはスノー様の判断で決まりますが、グランスコートの発展にも影響が出てしまうので、お気を付け下さい」
ホームのレベル上げか。全然考えてなかったな。
「正直な話をしますと、今のホームレベルではこれ以上の発展は難しくなってしまいます」
〈え、そこまで関係があるんですか?〉
「はぁ……まぁ、スノー様らしいとは思いますけどね。良いですか、もうここは最初の頃みたいな、広い平原にある集落ではありません。森の主が森の恵みを与え、深く関りを持ちながら気軽に頼れる許しをもらい、都市国家との関係も良好で、その眷属とも呼べる鬼達と共存していける町になっているんです。そして今はサーカス団という唯一の妖怪達との繋がりが出来つつあります。簡単に言ってしまえば、東の大地と繋がる為の要になっています」
中央都市の人達からすれば、確かにそういう立ち位置になるのかな。
「ただでさえ私が此処に赴任した事を、上司達からぐちぐちと言われて、もっと優秀な子をなんて声まで上がってるんですよ。アイツ等マジでウザいんですから、下手な失敗は出来ないんです。助けると思って少しは此処の事も考えて下さいよ⁉」
物凄く潤んだ瞳で、抱き着かれてしまっては頷くしかなかった。
「イベントとか、冒険も貴方様の重要な使命だとは思いますけど、そろそろ私が活躍したという実績を下さい! 頼ってください」
「そう言うけどさ、結構な実績は残してるんじゃないの? エーコーさんの住む場所で色々とお手伝いしてたじゃん」
シュネーが少し呆れながら、思い出す様に言う。
確かにと僕等は頷いて、皆は一斉にカミルさんの方を見る。
「ふふ、ちょ~っとやり過ぎて怒られちゃいました」
「その挽回の為に、今回の事でござるか」
そ~っとカミルさんの視線が横に逸らされていく。
〈ん~、それじゃあ今あるポイントってどれくらいでしたっけ?〉
領地に使えるポイントについて、全然把握していない自分もダメな部類だな。
今後は少し注意しながら、見ていこう。
「……もう、二十万も溜まってます。使わなさ過ぎですよ!」
〈何時の間にそんな溜まったの? 特に何かをしたって感じはないんだけど〉
「これでも必要経費は減ったりしてますけど、使わなさ過ぎて溜まる一方です」
「そういえば、スノーがなんやかんや手を出したのって全然ねぇな」
使わなさ過ぎるのは問題だな。いっそのこと色々とバージョンアップさせて、ポイントから学校やら人材募集に使っちゃえば良いか。
〈それじゃあパンフレット見してもらって良い?〉
「はいはい、こちらですよ~。どうぞ~」
パパっと決めて、サーカス団イベントの方に力を入れたいから、ちょっと適当に選んでしまった。
学校や訓練所など、それなりに高いポイントのモノを選び、人材育成や人材の獲得に使うポイントは、ほぼマックス値まで振り込んだ。
後はホームのレベル上げに適当に振って、最後に残った二万くらいのポイントをどうしようかと悩んでいると、目の前にいるカミルさんが目に入る。
〈このポイントって、好きに使って良いってカミルさんに譲渡しちゃあダメですか〉
僕がそう言うと、すぐに手元に分厚い本を召喚し、パラパラと調べ出した。
「…………ふむ、問題はありませんね」
〈じゃあ、それでよろしくお願いします〉
さぁ、早くズミナとミスユ団長をくっつける企画を進めなくては。
魅せる舞台をいう格好の場所があるんだから、二人で公演する演目を作ってしまおう。
「ねぇ、暴走しないでよ」
「イヤですね~、私がスノー様の迷惑になるような事をする訳ないじゃないですか」
「不安なんだな、フラグ臭しかしないんだな」
「ニヤニヤしてんぞ、本当に大丈夫か? って、スノー? アイツは一つの事に集中すると他が疎かになるのは何とかならんのか」
僕にはそんな事を言っているティフォ達の声が全く聞こえていなかった。
カミルさんは暴走をしなければ凄く優秀なのだから、丸投げしても問題は無いはずだ。それに今は煩わしい事は考えたくないので、どうやってお姉ちゃん達に勝つかを考える方が最優先なのだから。
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