【オンライン】242話:ハロウィンの準備(7)
〈お祭りが近いからかな。凄く活気付いてるね〉
「前回より人も増えてるし、今回はお祭りだからな」
戦いがメインではないから、村人達の全員が楽しめるお祭りだ。
想像以上に村人達は楽しみなのかもしれない。
「きっとそれだけじゃあないんだな。スノー姫達が来なければ此処はずっとお祭りも開かれなかったんだな場所になるでござるよ。そういう事も含め、初めてのお祭りに村人達が浮足立つのも仕方ないんだな」
〈それは……確かに気合が入るね〉
「他の所はやらなかったの? プレイヤー個人でお祭りっぽく盛り上げる事は出来るんだよね? 大きな都市になった時なんかには盛り上がりそうだけどさ」
シュネーが興味本位で聞いた事だけど、ガウは少し話し辛そうに顔を顰めていた。
「アレはプレイヤー達がバカ騒ぎするには良いのでござるがな~。そこに住む村人達にはあんまり評判は良くなかったんだな」
プレイヤー達からすれば三日三晩、ず~っと騒いでいるのは簡単だろうけどね。村人達からしたら、長い間ずっと騒いでいる事になるからね。
〈ねぇ、それって今回のイベントは大丈夫なのかな〉
「あ……どうでござるかな。拙者もそこまで考えが行き届いてなかったでござるよ」
街の外に静かに寝れる村人達のスペースを用意するっていうのは違う気がするし、反感も多そうだ。
良い考えが浮かばないまま、自分達のホームへとたどり着いてしまった。
「お主ら、近々なにやら楽しそうな祭りをするそうではないか。楽しい事の抜け駆けは禁止であるぞ、絶対に我も混ぜるのだぞ」
〈エーコーさん、こんにちは〉
僕に続いて、皆も挨拶をしていく。
相変わらず神出鬼没なエーコーさんだけど、今回は良いタイミングで現れてくれた。
〈相談なんですけど、泉の方を村人達が寝泊りできる宿泊所にしたいんです〉
「ふむ? どういう事じゃ?」
プレイヤーのイベント中は昼夜問わずに騒ぐ人達が多くいると思うこと、静かに休める場所を探しているという事をとエーコーさんにお祭りの事と同時に伝えていく。
「なるほどのう、そういう事であればお祭りの期間中は、泉に村人達を招待しよう。此処の者達なら囲碁や将棋も知っておろう」
「ボウガっちが、大人の人達に広めてたから、出来る人は多いと思うよ」
「ならば、見返りとして対局が出来る者は我等の相手をしてもらうという事でどうじゃ?」
〈えっと、ありがとうございます。多分、喜んで引き受けてくれると思います〉
ボウガさんも、もう一度エーコーさん達と勝負したがっていたし。他の村人達とも仲良くなれるきっかけになってくれるだろう。
雰囲気的にもバッチリな場所だし、ちょっとした旅行気分も味わえるだろう。妖精達も多く居るから、子供達の遊び相手になってくれる。
「この村全体で騒げる場所にするとは、面白いのう」
ただお祭りを見て回るのも楽しいだろうけど、エーコーさんがどういう催し物をするのか見てみたいという気持ちが勝って、ちょっとした事を口走ってしまった。
〈エーコーさんも何か出し物をしますか?〉
「良いのか?」
言ってしまってから、余計な事を口にしたと思ったけれど、もう口に出してしまった事は引っ込めることなど出来ない。
それに、エーコーさんの期待に満ちた目で見つめられてしまっては、もう冗談ですとは言えない。子供の様に純粋な輝きが宿っていたから尚更だ。
〈場所は僕のホーム周りになりますけど……それで良ければ〉
「全然問題ないぞ。この一角を借りられるのじゃな」
〈え、えぇ。妖精達やウサギさん達と楽しんでください。ニンフィも少し休んで、それからエーコーさんのお手伝いする? そろそろ疲れたでしょう〉
ずっと付き合ってくれていたニンフィは、少し眠そうにうつらうつらしていた。僕とエーコーさんを何度も往復して、眠さに負けたのかニンフィは頷いて、自身の寝床へと飛んでいった。
〈エーコーさん、ニンフィの事をよろしく頼みます〉
「ふふ、任せておけ。この辺りの飾りつけは引き受けたぞ」
ニンフィを優しく後ろから抱きしめて、寝床へとエーコーさんが運んでいってくれた。
「ねぇねぇ、良かったの?」
シュネーが心配そうに僕に聞く。
〈まぁ、グランスコートと森の関係は強くしておきたいからね。これからは鬼達の事もあるから、少しでも色々と関りを持っておかないとね〉
今回のイベントは、村人や森と鬼達にとって良い関りを作るチャンスでもある。
コレが上手くいけば、お互いに助け合える関係性が作れていくと思う。
それが叶えば、この辺りはちょっとした出来事では崩れない様な盤石な場所になってくれるだろう。
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