【オンライン】228話:恋のライバル認定(6)




「それにしても、本当に女の子の恰好をしてるのね」


 フー先輩がティフォをつま先から頭、髪の毛先までじっくりと眺めながら言う。

 今までニコニコと微笑んでいたティフォから笑顔が一瞬にして消え去った。


「安心してほしいんだな、姉上にはバレたでござるが、他には誰にも言ってないんだな」

「なら良いけどさ」


 多少の面影はあるけど、パッと見た感じではきっと誰も気付かないと思う。


「大丈夫だよ、ティフォっちが女の子の服を着ているなんて、誰も思わないからさ」


 さすがシュネー、僕が言わなくても代弁してくれる。


「余計な事を言うのは、このお口かな?」


 素早くシュネーの前に立って頬を両側から引っ張ってムニムニと伸ばされている。


「いふぁいよ。ほんほうの事を言われたからってそんな悪戯しなくても良いじゃんか」


「図星を指されたから暴力反対~、お姉ちゃんならそう言われたってスルーしなくちゃね」


 スズメちゃんが揶揄いながら言う。


「五月蠅いよ。それからスノー、気付いてないと思うから言うが、さっきからシュネーやスズメの言葉に頷いてたからな、むしろ良く言ったって顔を誰よりもしてるからね」


 しまった、殆ど無意識化で頷いていたようだ。


〈所でさ、ギャザラーって何する人なの? 戦闘職じゃあないんでしょう〉


 クラフターは鍛冶や錬金術、彫金に木工なんかのモノ作りする人達っていうのは何となく分かるのだけど、ギャザラーって言われてもいまいちピンとこないんだよね。


「そうでござるな、ダイチ殿やハーナ妃なんかはギャザラーでござるよ。戦えはするけれどメインではないんだな。主に採掘、園芸、漁師、調教師、解体。これらがギャザラーに分類されるでござる――」


 質の良い木材や薬草を採取したり育てたり、料理の材料となる魚やお肉を調達する事を専門的に行える人達の事を言うらしい。


 戦うよりも、のんびりとしたスローライフを楽しみたい人向けの職業になる。


 牧場を持てば、牛や鶏なんかのお世話をして、新鮮なお肉や牛乳、卵なんかも自炊出来るし、テイマーやライダーのモンスター預り所なんて言うものも出来たりする。


 訓練所を設ければ、テイマ―やライダーが連れて行けないモンスターの能力を上げる事だって出来てしまうのだ。


「皆には必要な存在でしょう。ファーマーの子が仲間に居るなら、牧場を私に任せて貰えれば、最高の環境を整えて御覧に入れましょう」


 鬼達が住む草原はまだまだ手付かずで、土地がかなり余っている。あそこを牧場地帯にして、モンスター牧場と普通の牧場を設ければ、確かに良さそうだ。


 フー先輩の事だから、ティフォがテイマーって事で彼のモンスターを調教する気なのだろう。自分に出来る事で得意な分野だと言える。


 ガウの家は色々な動物達が居て、その殆どをフー先輩が中心となってお世話をしているから、動物の世話もお手の物だろう。


 ふぶき先輩は見た感じのぽやぽや感と違って、かなりアウトドアな女性だったりする。

 山や海に行って釣りや野鳥の写真なんかを良く見せてもらった記憶がある。

 キャンプなんて率先してテントやら火起こしをしてくれる。料理の腕もかなりのモノだ。


〈じゃあ鬼達の集落に行ってみますか?〉


「最近手に入ったって場所ですね。腕が鳴りますね」


 丁度良いから、中央都市で買い物をしていこう。木を植えるにしても普通の木材を選ぶより、色々な木々の苗を買っていきたい。


 リンゴ園やブドウ園を作るのも良いかも知らない。





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