【オンライン】149話:イベント騒ぎは大騒ぎ
ジャンシーズから来たゲンドウさんが忍者らしく、木の葉を舞い上げて帰っていった。
このイベント事態が森フィールドの取り合いなのだから、どういう手を使って来ようとあんまり気にしないと伝えると、なんとも不思議そうな顔をしてお礼を言われてしまった。
今はそれより、エーコーさんやダイチお爺ちゃん達のせいで増えてしまった機能というか、能力と言った方が良いのか。とにかくその確認をしなければならない。
〈第二拠点となる場所を作った事で《施設拡張》が出来るようになったのと、《倉庫》に固定砲台を入れて置けば、こっち側でもすぐに設置できるみたい〉
元々あったマイホーム以外を自由に使って良い範囲が増えて、田んぼや泉だけだった場所に施設を増やす事が出来るようになったらしいのだ。
その第一が小さい倉庫だった物置の増築が可能になっている。
「持ち運びをしなくても良いって事ね」
〈自陣内であれば呼び出せるみたいです〉
ピースガーデンに帰って受付嬢さんに言えば拡張してくれると、説明には書かれている。
「それじゃあこっちにも小さい倉庫を作っておいた方が良いわね」
僕が出した説明書を一緒に見ながら、ケリアさんが提案してくれる。
「とりあえず、一度ピースガーデンまで戻るでござるか? 此処にホームを築くならば早い方が良いんだな。そうしないと場所が無くなりそうなんだな」
ガウはそっと僕達から視線を外して、後ろを振り向くと目線の先にはエーコーさん達が盛り上がった様子で庭を造っている。
こじんまりした泉も広げるよう感じの話をしているようだ。
「アレはエコっちの家をさっさと決めて、ボクらのホームを建てる場所を言っておかないと後から揉めるんじゃないの?」
〈そ、そうだね。早めに相談しようか〉
何やら真剣に話している二人に皆で近付く。
「お爺ちゃんとエコっち~、ちょっと良いかな」
「なんじゃ? どうした」
〈こっち側にホームを建てようって話でね、小さくても良いから場所を開けて置いて欲しいなって思ってね。先に話しておいた方がいいでしょう〉
「ふむ、確かにこっちにも建てれば移動が楽になるな」
僕等のは無いを聞いて、すぐにエーコーさんが納得したように頷いている。
「どういうことじゃ?」
「なに、転移陣をホームで繋げるという話であろう?」
〈転移?〉
なんか知らない情報が出てきた。
「知らなかったのか?」
〈転移陣を造ると、この泉との行き来が楽になると?〉
「うむ、こちらからも移動が楽になるし、妖精達もお主らの場所まで安全に行けるしのう。後々にこちらから頼もうと思っておったのだ」
「それじゃあイベントだけじゃなくて、今後も妖精達はグランスコートに遊びに来てくれるってこと! やったねスノー」
シュネーは妖精達と仲良くなりたがっていたし、僕も彼女達とは仲良くなりたい。
「それでじゃ、コイツを持っていけ」
小指サイズの細長い緑色のクリスタルを手渡された。
「パニアの台座を作ったヤツもおったし、使い方を知っているヤツも居るじゃろう、お主の家には守りの結界が張ってあったしのう。そいつに渡せばすぐにでも転移陣の場所を設けてくれるのではないか?」
そう言って、エーコーさんは用事は終わった事を確認すると、すぐにダイチお爺ちゃんとハーナさんの元まで駆け足で行ってしまう。
ホームでの生活をかなり気に入っていたから、エーコーさんの住むこの泉も負けないくらいの住み心地にしたいんだろうな。
「守りの結界なんて張ってあったの?」
シュネーが呟く様に僕に聞いてくる。
〈いや、知らない〉
あのホームを買った時にそんな説明は受けていないと思う。
「とにかく転移陣を使うには、あのホームを買った場所に行けって事だと思うんだな」
「あの破天荒な受付嬢の子ね」
「また隅っこで不貞腐れてるんじゃあないか?」
殆ど仕事がないって言ってたもんね。
〈そういえば、会いに行ってないね〉
「色々と忙しかったからしょうがないって」
ダイチお爺ちゃんやボウガさん、パニアの協力もあって外壁とか道なんかは自分達で造ってたからな。
あの受付で買い物とか施設の拡張とかって全然やってないんだよね。
〈ティフォの言う通り、不貞腐れてそうで怖いな〉
「頼りにして欲しそうにしてたよね~、あの受付嬢さん」
シュネーも思い出しながら、ちょっと申し訳なさそうな顔をしている。
農具とか良いモノを貰っていたのに、全然会いに行ってあげなかったな。
少し気は重いけれど、会いに行かないとね。
小言ぐらいは言われるだろうけど、それはしっかりと聞いてあげようと思う。
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