【オン52】役割、開拓、初めの準備
「なんかクエストが自動発生だってさ」
帰路に就き、安全な道で情報の整理しながらゆっくりと歩く。
『このペナルティー……多分、もう一つあるね』
呪いね~、説明欄にもデバフとしか書かれていない。
メニューのクエスト欄と睨めっこしながら、ティフォの服を摘まんで付いて行く。
「自動発生クエスト⁉ スノーちゃん、それって隠しクエストよ。通常のクエストは受けるかどうかって選択せいだから、凄いじゃないの!」
「いや、それよりも、ペナルティーってなんだよ?」
「多分? もう一つと言うのも気になるでござるよ」
いつの間にやらティフォが立ち止まり、皆に囲まれていた。
『み、皆? 近いって』
流石に二人の顔が間近にあるのは、ちょっとびっくりする。
「あら、ごめんなさいね。もう興奮しちゃって」
コホンと咳払いをして、ケリアさんとガウが離れてくれる。
「とりあえず説明してくれ。俺達の方にはクエストって表記は出てないだ」
あぁなるほど、コレはオレだけがクエストを受けた事になってるのね。パーティーを組んでたから全員に表示されているモノだと思っていた。
「きっとファーマー専用の特殊クエストなんだな。それならオイラ達にクエスト表記が出ないのも納得なんだな……いや、或いはゴーレム契約に関する特殊クエストとも考えられるね、どっちが正しいかは他の人達と検証しないと分からないんだな」
ガウが疑問に思っていた部分を説明してくれた。
『そういう攻略関係はガウに任せるよ、オレじゃ分かんないことが多いし』
昔から情報取集や、検証の仲間集めは雷刀の十八番だ。
「御意に、拙者の得意分野でござるからな。言われずとも勝手に調べる気だったんだな、許可はちゃんと皆に取ってからでござるがな」
こういう言動をしていると、一人前の騎士に見えなくもない。
「発生条件は、ゲーム内で一日、もしくは半日の一定距離の尾行か?」
イーゴさんのヒント無しに、その事に気付けっていうのは難しいよね。
「他に思い当たらないよね~、ボク達って尾行以外はしてないしね」
「そうね、あと付け加えるなら非戦闘じゃないかしら? 一度も戦わずにゴーレムの尾行を継続って感じかしらね。一定範囲離れると失敗って所かしら」
皆の情報をガウがまとめながら、ちゃんとメモしている。
というか、そんなメモ帳みたいなアイテムもあるんだね、この世界は。
「その辺は情報屋にデータ検証を頼むしかないんだな。良いでござるか?」
あらかた書き終わったようで、ガウは皆に確認をとる。
「俺は別に構わないぞ」
『特に問題なし』
「ボクも別に~」
「ゴーレムのテイムは結構な数のテイマーが知りたがるでしょうね。それに、数が居ればこの先に似たような契約方法のモンスター情報も出てくるでしょう」
なるほどね、ただ情報を渡すだけでも色々と有益な情報も出てくるって訳だね。
今度ガウに情報屋さんを紹介して貰おうかな、何かとお世話になりそうだし。
「それよりも、次だ。お前にペナルティーってどういう事だ?」
ズイッと顔を近付けて、ティフォがオレを逃がさない様に聞いてくる。
『あぁ~、言葉が足りなかったね。性格には失敗時にペナルティーを受けるんだって』
心配症だな、まぁ、色々と悪かったとは思うけどさ。
「デバフ? 効果のある呪いを受けるって書いてあるコレさ。デバフってなに?」
シュネーがオレのメニュー欄を勝手に覗きながら聞く。
「簡単に言うと、ステータスの低下なんだな。それが呪いによって半永久的にかかり続けるという感じでござろうな。しかし【呪い】でござるか、失敗は出来ないんだな」
ガウが少し深刻そうな顔で言う。
『なんで?』
ちょっと怖いじゃんか、何だよ。
「この【呪い】ってね、まだ解呪の方法が見つかっていないのよ~。中央都市の上位クエストにあるもあるんだけど、《お城の重役が呪われた、解呪を頼みたい》ってやつ。誰もクリアーした人が居ないのよね~、攻略班も必死子いて探してるみたいなんだけど」
上位クエストで、未だに発見されてないのかよ。
「また厄介なクエストが発生したもんだな、それで? なんでスノーはもう一つあるって言ってただろう、アレはどういう意味なんだ?」
全部の事を聞きだしてやろうって気概がティフォからあふれ出してるよ。
どうどう、って馬を落ち着けるように宥めながら、話し始めた。
『や、呪いだから解呪の方法はあるんだろうな~って漠然と考えたらね、失敗時のリスクが少ない気がして。だからちょっと可能性的な考えをしたら一つ思い当たったから?』
正直、思い当たった方のペナルティーの方が厄介だ。
「初心者に出されるクエストにしては、結構にリスキーだと思うわよ」
確かに、そうなんだろうけど。
『いや、だって高レベルの人が居たら、その場で解呪が出来ちゃうよ?』
「そうでござるが……いや、スノー姫よ。なぜ、そういう考えに?」
ガウまで疑り深くオレに迫る様に聞いてくる。
『ファーマーは基本的に戦えない職業でしょう? それに仲間が居るのは当たり前だし、助けられる前提での話しなら、やっぱり釣り合いが取れないかなって思って』
オレの言葉をかみ砕くように、皆が考えに耽る。
「たしかに、そうねぇ~」
顎に手を当ててケリアさんが何か引っかかっている様子だった。
「ゴーレムの勧誘が呪いってデバフだけで、それもファーマーに? スノーに言われるまで気付かなかったけど~、言われてみるとちょっと違和感があるよね。基本的に戦わない事が前提の職業ってわけだし」
シュネーが補足的に考えを言うと、ケリアさんを含めて皆の顔が驚きに変わった。
『うん、だから、もしかしたらだけど、自分達の町に対して、敵対関係の敵になるんじゃないかって思った。それが、本当のペナルティーかなって』
絶対に説明だけを鵜呑みにして、軽い気持ちでいたら痛い目を見そうなトラップだ。
「失敗したら、町のすぐ隣に敵地が出現するってわけか⁉」
下手すると、町の中に敵陣地が出来るかもね。
『多分? だけどね』
「ゴーレムの一団って訳でござるか……面倒なことこの上ないんだな」
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