【オンライン】18話:甘えん坊な妖精と畑作りの行方



 ちょっと前の出来事を精細に話した。


『とまぁ、そんなことがありまして』


 ちゃんと事細かに話したと言うのに、話を聞いていたティフォもケリアさんも……そして何故かウサギさん達に加えて、シュネーまでもがオレのことをジト目で見てくる。


『なに、この熱い視線は?』


「いやなに、お前が語った内容に嘘はないんだろうけどな、俺の想像だともうちょっと色々とやらかしていそうだなぁ~っと思った、ただそんだけ」


 ティフォが呆れ交じりに言うと、ウサギさん達が「くぅ~」と潤んだ瞳を見せ、何度か頷くようなそぶり御見せている。


 それを見たケリアさんとティフォは、更に冷めた目で見てきた。


 ――まったく、侵害だよ。


 それにしても、やっぱりウサギさん達はオレとシュネーには絶対に甘えてこない。

 もしかしたら、小動物をモフモフ出来るかと思ったのにな。


「そういえば、なんの称号とスキルを貰ったの?」

「えっとね【統一者】って称号と、ボクは【扇動】ってスキル」

『オレは【罠】ってスキル』


 ケリアさんには詳しく見せていないが、ステータス欄には(スノーがメイン時のみ)と、書かれている事から、別々のスキルを貰った訳ではないらしい。いまはシュネーが主軸だから発動するスキルは【扇動】になるのだろう。


 そして【統一者】という特殊称号だが、ちょっとした効果があるようだ。


(この称号を持つ者は、知り合ったNPC・モンスターなどの者達から信仰・友好などに向上しやすくなる)という事らしい。


 ウサギさん達との関係性だが、(交友。ライバルというなの敵視)なんて書かれている。

 仲が良いのか悪いのか良く分からない表記だ。


 ちなみに、【統一者】というスキルを手に入れた事で、ステータスのメニュー欄に一枠【友好・信仰・好感度】なんていう欄が増えた。


 ティフォとケリアさんにそのことを相談したら、


「ギャルゲー?」


 という、謎の単語を発したので詳しく聞こうとしたら、視線をあからさまに逸らされて、「それ以上は聞くな」と言われた。


「んふふ、ティフォナちゃんったらしっかり男の子なのねぇ」

 なにやら妙にテンションが高い感じで、反応を示すケリアさんとは反対に。

「スノーに変な事を教えたら承知しないからね」

 という、凍る様な冷たい目で見ている。


「すまん」

『なんかみんな知っててオレだけ知らないって、何か、やだ』

「ん~、でもスノーちゃんには早いと思うのよね」


 ケリアさん、こう見えてもオレはティフォと同い年なんです。

 なんて簡単に言えない事がこんなにも悔しいとは。


 ーーそれより、なんでオレが知らないのにシュネーは知っているのさ、おかしくない?


 ジッとシュネーを睨んでいると、多分オレの思っている事が解ったのかゆっくりと視線を外して、顔を背けていく。


「そうふくれっ面になるなって、今度ちゃんと教えてやるから」

『本当? 誤魔化して先延ばしにしない?』

「お、おう。もちろんだ」


 樹一のヤツ、絶対にあれこれ理由とか言って教えない気だったな。

 不意に耳元、というか自分からだろうかピピピッという音が鳴る。

 しばらくしてなり終え、ブンッ電子音が鳴ると目の前に文字盤が浮き出てきた。


『そろそろご飯よ~、お風呂もあるし。終わりにして下りてらっしゃい』


 そう書かれたメール便が届いた。


「もうそんな時間か、とりあえず今日はお開きにするか」

「そうねぇ、結構長くやってたからね。起きたらちゃんとストレッチしときなさいよ」


 オレ達三人はきちんと返事を返し、ログアウトする。



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