声劇台本２人用「夜の出来事」

「夜の出来事」

Ａ：男性

Ｂ：女性

Ａ：ふぅ……やっと…やっと、家に着いたよ…あの満員の電車に揺られ…何度も挫け、何度諦めかけたか…でも…それでもっ、僕はちゃんと、ここに帰って来れたんだっ、君が待ってる…この……に……ただいま！

Ｂ：あのー、毎回毎回そのドラマチック帰宅は何？…物語が終わるの…かな？

通勤時間、往復でも４０分無いよね？(笑

Ａ：ねぇカムパネルラ、また僕たち二人きりになったね…

Ｂ：いつから「宮沢賢治」になったんだろう…まぁいいわ(咳払い)

どこまでもどこまでも、一緒に行こう。

Ａ：僕はもう、あの…さそりのように、本当にみんなの幸せの為なら…

僕のからだなんか、百ぺん灼やいても、かまわない！

Ｂ：うん…僕だってそうだ

Ａ：でも…本当の幸せは、一体何だろう

Ｂ：私…わからない

Ａ：僕たち、しっかりやろうね

Ｂ：満足かしら？(笑

Ａ：うん、凄く！

Ｂ：じゃあとりあえず、さっさと玄関じゃなくて、部屋行こっか？(笑

Ａ：なっ、なんだって…そそそその扉の向こうに…何があるっていうんだ！？

Ｂ：ふっふっふ…実はお前達には、まだ伝えて無い事があるんだ

Ａ：それが…この先にっ！？

Ｂ：あぁ…お前は、この扉を開ける勇気があるのか？

Ａ：どんな困難だって…みんなと…いや、君と一緒なら大丈夫さ

Ｂ：なら、開けてみるが良い

Ａ：こっ、これは…

Ｂ：ん？なんだ、知ってるのか？

Ａ：知ってるも何も…ここは…でもまさか…そんなっ、だって…ここはっ！地球だったのか…

Ｂ：(笑う)ごめん、本当に私が悪かったから、部屋行こ？着替えよ？

Ａ：自分から誘ったクセに…

Ｂ：だからごめんってば！それよりご飯は？どうするの？いるの？いらないの？

Ａ：君が作った物なら、僕はなんだって食べるさ！それが…例えどんな秘密があったって…僕は…食べる、食べ続けるんだ、それが僕の業…なのだから…

Ｂ：それが…彼の最後の台詞だった…そんな彼を知ってるのも、とうとう私だけになったみたい…そして、最後の１人も…やっと彼の所に行けるの…待たせて…ごめんね？怒ってるかな…もうすぐ着くから…ね

Ａ：えーと…これはハッピーなの？バットなの？(笑

Ｂ：「ロミオとジュリエット」を、意識したつもりよ？

Ａ：「マクベス」じゃないだけマシかー、じゃないねん！結局悲劇やないか！

Ｂ：悲劇も喜劇も、全部主観でしょ？だから私には、これが喜劇なの！そう…それこそが人生…「That's life！」

Ａ：理解出来ないな…そんな言い訳ばかり並べて…結局結末を知るのが、現実を視るのが…怖いだけだろ？

Ｂ：そういう貴方だって、ずっと私から逃げてるじゃない

Ａ：今迄は…ね？でも、もう逃げない…

Ｂ：えっ…どういう…

Ａ：沢山…待たせてごめん…ご飯食べます！

Ｂ：だいぶ遠回りしたねーっ(笑

プロポーズするぐらいの勢いだったわよ？

Ａ：文化、音楽、風景、全部、全部…子供には伝えよう…

Ｂ：それは、私のお腹のお肉なんですけど！？

Ａ：でも…この言葉だけは…伝えないでくれ…結構脂肪

Ｂ：なっ！？そこに直れーーっ！！！

Ａ：ハイ！すみません長官！

Ｂ：私に刃向かうとは良い度胸だ…その心意気だけは認めてやろう…しかし！世の中には決して覗いてはいけない、深淵というものがあるんだ…もし深淵を覗くのならば、それなりの覚悟が必要になってくる、それが何かわかるか！！

Ａ：ハイ！わかりません長官！

Ｂ：良いか…よく聞けよ？深淵を覗く時、必ず深淵も、お前の事を覗いてるんだ…

Ａ：なんだって！？…じゃあ僕のお腹にも…

Ｂ：あぁ、勿論そうだ！毎日同じ物を食べて過ごしているんだからな！

Ａ：あ、でも食後のデザートとか、ほら甘い物苦手だから…

Ｂ：ん？何が言いたいのかなー？

Ａ：スイーツとか、別腹～♪って食べては無いよ？

Ｂ：どうやら、私を本気で怒らせたいようだな…

Ａ：本気で無いお前を倒して、最強とは名乗れないからなっ！

Ｂ：我が武術の全てを持って、倒してやる！

Ａ：全力で来いっ！

Ｂ：１週間お弁当抜き！！！

Ａ：参りました！すみませんっ！！それだけはっ、それだけはご勘弁を！！！

Ｂ：じゃあ、どうするか…わかるわね？

Ａ：これから１ヶ月毎週バームクーヘン、いや毎日シュークリームで…いかがでしょうか？

Ｂ：わかればよろしい！

Ａ：ありがとうございます！

Ｂ：さて、ご飯いるんだっけ？じゃあ用意するから、先にお風呂入ってこれば？

Ａ：わかった！ちなみに今日の献立は？

Ｂ：カップめ…ごほんごほん、から揚げー！(小声で)冷凍の

Ａ：マジで！？やった！！じゃあ入ってくる！

Ｂ：彼は、聞こえ無かったみたいね…皆も彼に教えちゃダメよ？じゃあ、まったねー！

Ａ：良かった…アイツのから揚げ、いつも味薄いし、衣硬いし、ちょっと食べづらいからなー、冷凍なら企業努力のおかげで、安心して食べれるわ…あ、これアイツには内緒だからな！

Ｂ：何か言ったー！？

Ａ：別にー！

fin