江坂 伊沙(えさか いずな)

江坂えさか伊沙いずな


 凪と同じクラスの女子高生。高校一年生だが、歳は一つ上の学年になる。

 肩に触れる程度の内巻きウェーブヘア、目元には化粧を施しており、派手な見た目に違わない人懐っこい性格で、朝季の通学時に避けられていた凪にも気軽に声をかけた。


 中学三年の時に事故に遭い家族で重篤になるが、姫乃小鳥が脳を弄り意識を取り戻した。手術中に目を覚ました時、「生きたいか?」と聞かれ「死にたい」と答えたため、小鳥は人間としての彼女を殺し人造人間兵器アーティフィシャルアテンダーとしての生を与えた。

 両親を助けたい、目を覚まして欲しい一心で、その術を持つ可能性がある小鳥に協力する決意をする。


 一年のリハビリ入院を経たあとも両親は未だ寝たきり状態で、母方の叔母夫婦の家で暮らす。

 しかし叔母夫婦に心を開くことが出来ず、「所詮は他人」と思って無断外泊を繰り返し、ついには叔母夫婦も彼女を放任する。外泊時はアジトで寝泊まりしていた。その真意は「他人」ということもあるが、「巻き込みたくないため」

 人造人間兵器アーティフィシャルアテンダーだということが明るみになった場合、叔母夫婦と疎遠になっておけば巻き込まずに済むと考えて素っ気ない態度をとっていた。しかし罪悪感と本心では仲良くしたいという気持ちが混じり合い、時々家に帰るという中途半端なことを繰り返していた。

 朝季捕獲、工業団地攻略戦からはもう誤魔化しが効かないと考え、叔母夫婦の家を去ってアジトで暮らす。


 凪とは入学式で会話した、初めての友達。しかしそのあと、クラスメイトに「白川さん、中学はすごいところ行ってたんだね」と言われた凪が「たいしたことない。レベルの低い、最悪の学校だった」と発言してしまい、顰蹙を買って孤立する。事情を聞こうとしたクラスメイトもいたが会話下手故にうまくフォロー出来ず、孤立していく凪を遠目に見ていた。

 声をかけたいが、凪と仲良くしたら自分も孤立するのではないか。今の人間関係が無くなるのではという不安から何もできなかった。

 凪が東京に行った後もずっとそのことが気にかかり、朝季への恋心もありいつしか、凪に対する感情が敵対心に変わっていた。「私はあの子よりうまくやれる、あの子より私の方がすごい」と。


 朝季と凪が出会った日の賊侵入の際、そして三次の事件後も、伊沙がクラスを支配しその話題から気が逸れるように仕向けた。事件が表沙汰にならなかったのは冬那が圧力をかけた故だが、生徒たちの噂にすらならなかったのは伊沙の暗躍によるもの。


 工業団地攻略で敗北したことでもっと強くならなきゃと決心するが、同時に不安もあった。姫乃小鳥は組織を持たない、全部一人でやろうとするから負けると。

 小鳥に両親の命を預けているゆえに戦い続けるが、負け戦をする意味がないとの迷いもあった。NFFC最大の敗因は小鳥の参謀としての未熟さ、統率力のなさだが、伊沙の迷いも一因となっている。


 身体の左半分はほぼ、他人の部品からできている。心臓は姫乃夫人(隼人と小鳥の母)のもので、朝季に惹かれた要因はそこにあると思われる。(朝季の人工脳は姫乃夫人を参考にした)

 心臓は移植は高校入学直前。それまでは病院で亡くなった患者のものだったがその臓器が発作を起こし、伊沙を救いたかった小鳥は保管していた母の心臓を彼女に埋め込んだ。

 小鳥はその時のことを、「お母さんの心臓を使ったことは後悔してる。でも、伊沙を生かしたことは後悔してない」と矛盾とも感じる発言をしている、

 しかしその出来事がきっかけで伊沙は小鳥に情を寄せ、完全に信頼するようになった。

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