第4.5話 星夜の夢
[☆星夜の夢☆]
「前回のあらすジャスティス!」
なんだこれ。
「よう久しぶりだな!」
「いや誰ですか!? 初めましてなんですけど!?」
俺の名前は星せい夜や。昨日はまなかによってぶっ壊れた家を2日かけて直した反動がきて、夜になってすぐに寝た気がするが、いつのまにか変な眼鏡のおじさんと一緒の空間に共有しあっている。てかさ、お前は誰や!?
「私の名前は......フフ。言わずとも分かるか」
「いや名乗れよ! 初めましてだって言ってんだろ!」
なんやこの中年太り気味の陽気オッサンは? ナルシスト気味で絶妙なウザさの波動をこの肌身に感じることが出来る。そもそもよ、この空間は何だよ? 少し前まで俺は寝ていたはずだし、もしかして俺は夢の中にいるの?
そんな事をぶつぶつ考えていると、例の陽気オッサンはまた何か話し始めた。
「おっと、前回のあらすじだったな。前回はパーティ一行が魔物討伐......その頃の私は森の中を彷さ徨まっていたんだ」
「お前の前回のあらすじかよ! いいよ、興味ないよ!」
てかそもそも......前回のあらすじって何!? なんか踏み出してはいけない大人の領域に片足突っ込んじゃったりしている気がするんだが!?
今、自分の身に降り注いでいる現象に、この後俺はどうなっちゃうのかを戦慄していたわけだけど、この間にも謎のオッサンは、間髪入れずに誰の需要があるのか分からない話を続けていた。
「そこで私は1人の少女と出会ったんだ」
謎のおじさんがパチンと音を鳴らす。そしたら急に眩しいくらいの神々しい光があたり一面を照らす。そこの中心にいつのまにか1人の少女が立っていた。
「どうも......『悪徳業者のケツを叩きながら、民衆の金を巻き上げている皇帝、無敵、最強という3拍子揃った天才。そう、その名前とは、まなチェリーナ3世です』」
少し黙って聞いていれば、いきなり現れて1人で気持ちよくなりやがって......とにかく口上が長ったらしいし、この発言から切り取ってみると、この最強ちゃん(笑)は到底許される行為ではない非道な事をやってるんだな。
ていうかこの発言しているのまなかじゃん! お前そんな事やってたの? いや......これは一応俺の夢なんだし、流石に現実ではやってないだろ? うん。それよりどうしてコイツがこんな所に?
「私はしばらくその子と一緒に森を歩いていくと、新たに1人の少女に出会ったんだ」
また神々しい光があたり一面を照らしまくる。知ってるよ! この後の展開はある程度読めてるよ! 多分、星歌がやってくる。
「どうも......『ひろ......ムグ!?』」
言わせねーよ。これ以上はなんかヤバそうだから、もう黙れ。口封じだ。なんか......星歌もこんなものボケするんだなーー。初めて知ったわ。
あと、このオッサンは森の中で迷子になってると言ったな。多分そこは星歌の神社の森だろう。あそこは常連客になってる俺でも迷う事があるほどだからね。迷うのは仕方ないと思うよ。うん。
そういえばなんでまなかと星歌がこんなオッサンと共に行動しているんだ? 何か深いわけがありそうだな。そんなどうでもいい疑問を俺の方から聞きだそうとも思ったが、そんなことしなくても多分このオッサンが勝手に話しだしてくれるだろう。
「彼女らの目的は一緒らしく『大魔王セイ•ヤー』を倒す旅に出ているらしい」
キイタコトアルナマエダナーー。
「話によると魔王は彼女らをコキ使ったり、気に食わない事があれば家を破壊する極悪人らしい」
それ俺じゃないから! ていうか家ぶっ壊したのまなかじゃん! 何、都合のいいように話してんねん!
「私はそんな魔王を絶対許さない。いざ! 魔王討伐の旅へ!」
「ご覧頂きありがとうございました。まちゃかり先生の次回作にご期待ください」
なんか分からないけど、綺麗にまとまっちゃっているなーー。ていうか地味にこのおっさん、ハーレムをばちこりやってるじゃねえか! 許せねえよこの暴挙は......もうどうやって収拾つけようか。
そうだ、どうせこれは夢なんだし、何やってもいいのでは? 俺の夢だし。よーーし、手始めにコイツらぶん殴ってみる。
「魔王パーンチ☆」
「ウギャァァァーー!?」
◇◇◇◇◇◇
「はっ!?」
俺は思わずベッドから飛び起きた。さっきまで寝ていたベッドは汗でぐしゃぐしゃに濡れている。どうやら俺は今まで変な夢を見ていたようだ。
時間を見てみるとまだ起きるには早すぎるけど、もう今日は眠れるきがしない。すっかり目が冴えてしまったのだ。けど、さっきの夢はイラつく場面はあったが、なんかスカッとしたね。うん。
ていうかさっきの夢は本当にただの夢だったのかな? 夢にしては生々しかった気がするけど.......星歌やまなかは大丈夫だろうか?
[ピンポーン]
玄関のアラーム音? まさか、この夢に出てきた名も無きおっさんがこの家まで押しかけてきたのか!? 俺は恐る恐る玄関の扉を開ける......
◇◇◇◇◇◇◇
次回に続く
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