第2話 秀太郎道を歩く

 その日は、家族全員で、買い物に出かけた。その道での出来事。

 

 秀太郎は、道のど真ん中を歩く。ずんずんと、我が物顔で、歩いていく。


 孫のたもつが、秀太郎に言った。

 

 「おじいちゃん、危ないよ。ちゃんと右側を歩こうよ」

 

 その言葉に、秀太郎の一言。

 

 「車がよけりゃあええんじゃ」

 

 保だけでなく、息子の健も、その嫁里子も、泉も思った。


 おじいちゃん、元警察官だよね。

 

 でも、そんなことはお構いなしに、秀太郎は道の真ん中を歩く。

 

 元警察官がそんなことでいいのか。

 

 それとも、これが究極の歩行者優先なのか。

 

 いっそ、轢かれて死んでしまえと健はちょっと思ったが、それでは轢いた人が気の毒だ。


 それでも、秀太郎は行く。道のど真ん中を堂々と。


 秀太郎の向かう先に敵なし。


 


 

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