買い物デート

「うわ~!すごーい!」


本日は日曜日。空は晴天。そしてここはこの東桜市一番の規模を誇るショッピングモール。因みにこのショッピングモールの設立には、美矢の実家である、弓柄グループが大きな役割を果たしているため、グループ傘下の店が多いのは、まぁ余談である。


「おーい。はしゃぎすぎてはぐれるなよ!」

「うん!」


珍しい景色に、フラメが目をキラキラさせながらはしゃいでいた。


「でもよかったのか?折角のデートの日をフラメの買い物にしちゃって」

「良いの良いの。フラメちゃんの服あの一着しかなかったし、こういうデートも良いでしょ」


と言って笑うのは、幼馴染みの魔実だ。ホントありがたくて頭が上がらない。


基本的に週6は勉強で、日曜は休みと言うスケジュールでやっており、日曜は順番に誰かとデートに出掛けるのが、最早定番となっていた。


「ほら、急がないとフラメちゃんとはぐれるよ」

「あぁ」


魔実に手を引かれ、勇誠はフラメを追いかける。


「ねぇお兄ちゃん。これなに?」

「これはアイスだな。食べるか?」

「うん!」


フラメの頷きを見て、勇誠は財布を出しながら何を食べたいか聞くと、


「じゃあコレとコレとコレ」


といきなり三つも所望である。


「み、三つは多くないか?」

「だってアレ……」


と、どうやら壁のポスターにあるアイスの三段重ねが気になるらしい。とは言えだ。普段の食事量を考えても、コレを食べきるのは、かなり厳しいだろう。よしんぼ食べきっても、この後の昼食に影響が出そうだ。となれば、


「じゃあさ、俺と魔実にも分けてもらえないか?」

「アイス?」

「そうそう。俺達も食べたいけどヒラメが三つも頼むなら少し欲しいなって」

「そうね。少し欲しいかな」


勇誠と魔実の提案に、フラメは少唸るが、


「うん。良いよ!」


と頷き、勇誠は三段重ねのアイスを一つ購入。構成は上からストロベリー・チョコレート・クッキーバニラの三つ。


それから適当な席に腰を下ろし、フラメはスプーンを使ってアイスを食べ始める。


「あ、はいアーン」

「ん?あぁ、アーン」


フラメはスプーンで、一番上のストロベリーのアイスを取ると、まずは勇誠に差し出す。それを口で受け取り、咀嚼して嚥下。久し振りに食べたが、結構旨いものだ。


「魔実お姉ちゃんもアーン」

「ん。アーン」


魔実には二段目のチョコレート。そしてまたせっせと自分で食べては、たまにこっちに食べさせてくれる。


『……』


そんな光景に、二人は目を合わせて、静かに笑う。案外悪くない時間だった。少々最近危険な出来事が多かったため、こうやってのんびりと平和な時間が続くのは良いことだ。


等と勇誠が哀愁に耽っていると、


「勇誠との間に子供できたらこんな感じかな」

「ぶふっ!」


突然の魔実の台詞に、龍誠は思わず吹いた。


「お兄ちゃん汚い……」

「ご、ごめんごめん」


ジト目で見てくるフラメに謝りつつ、勇誠は何いってんだよと魔実を見る。


「良いでしょ、ちょっとくらいそう言うことを考えたってさ」

「ま、まぁそうだけどさ……」


勇誠はぶつぶつ言いながら、視線をそっぽに向けた。そう言うことを言われてしまうと、変に意識して照れ臭くなってしまう。


「なぁに照れてんのよ」

「照れてねぇ」

「昔から照れると、そっぽ向く癖は変わらないからね」

「うっせ」


何てやり取りをしていると、フラメは不思議そうな顔をして、


「お兄ちゃんと魔実お姉ちゃんは、ずっと一緒にいたの?」

「え?そうだね……フラメちゃんよりも小さい頃からずっと一緒にいるよ」


おぉー、となにやらフラメは感心していた。何が感心ポイントだったのかは分からないが。


「じゃあずっとラブラブだったんだね」

「ら、ラブラブだったかなぁ?」

「少なくとも私はフラメちゃんくらいの時には、勇誠の事が好きだったけどね?」

「でもお兄ちゃん魔実お姉ちゃん以外の人も好きなんだよね?」

「そうなのよ。結構モテる上に、気が多くて油断ならない奴なのよね」


もう勘弁してくれ……と勇誠は頭を抱える。女は三人集まれば姦しいと言うが、二人の上に幼女とJKと言う組み合わせでも、厄介きわまりない組み合わせだった。


「ほ、ほらフラメもアイス食いきったみたいだし、先に服見に行こうぜ」


AHAHAHAと笑いながら、勇誠は席を立ち上がり逃亡。その姿を見て魔実は、


「良いフラメちゃん。アレが敵前逃亡ってやつよ」

「ほほー」

「余計な知恵を教えるな!」



ってなわけで、先にフラメの服を見に来た、勇誠と魔実だったが、


「なぁ魔実」

「なに?」

「フラメって何を着させても似合いすぎないか?」

「ホントそれね」


二人はいつも以上に意気投合していた。なにせフラメは、今はまだ幼いものの、間違いなく何れ傾国の美女と呼ばれるであろう素質を持った少女だ。


見た目は7、8歳前後なので、10年後にはすれ違う男性を片っ端から振り向かせるようになるだろう。


だがそんなフラメだからこそ、着させる服装に悩む。


普通にロリータっぽい服装も勿論だが、ボーイッシュスタイルも似合う。どの系統でも似合いすぎて、勇誠と魔実は絶賛悩み中であった。


そんな中、


「ねぇ勇誠」

「ん?どうかしたのか?」


魔実の少しシリアスな問いかけに、勇誠も少し背筋を伸ばして聞き返す。


「フラメちゃんについてだけど、一体何者なんだろうね」

「そうだな……」


前に聞いたときは、両親の記憶はないどころか、自分の名前以外、自身に関する記憶がない。年齢だって見た目で判断してるくらいだ。


正直、かなり怪しい身の上だと思う。


「そもそも居たのが、あのモンスターだらけの森」


よく無事だったものだと思いつつ、勇誠はふと気づく。


「あれ?そういえばフラメは?」

「え?」


二人がグルグル顔を回すが、フラメの姿が見えない。


「おいおいマジかよ」

「フラメちゃーん!」


二人が慌てて周囲を探索しようとすると、


「見てみてー」

「こらフラメ。一体どこにぶふっ!」


陳列してる服の影から、フラメが顔を覗かせて来て、勇誠は叱ろうとしながら近づくが、フラメが見せてきたのは女性物下着。有り体に言えば、ブラジャーである。しかもかなりカップ数が大きめの。


「凄いね~。おっきいねぇ~」

「わ、分かったからフラメ。それは戻してきなさい。な?」


勇誠が、しどろもどろしながら、フラメに言い、そこに魔実が来た。


「なにしてるのフラメちゃん」

「あ、魔実お姉ちゃんもこう言うの着けるの?」


え?と魔実はフラメからブラジャーを受け取り、


「でっか……」


と思わず呟いて自分の胸を見る。カップ数は平均より大きいくらいだが、運動を余りしない自分は、刹樹のような美乳ではない。空や美矢のように、スレンダーというか引き締まった体でもない。癒羅は……皆の中でトップクラスで大きい。癒羅ならこのブラジャーを着けてるであろう。


「ま、まぁ着けてるかな」

「見栄っ張り……」


勇誠の余計な茶々を睨んで牽制しつつ、魔実はフラメを連れてブラジャーを戻してくる。


「良いフラメちゃん。あんまり勇誠や私から離れちゃダメよ?」

「ごめんなさい……」


うん。宜しい。と魔実は笑って答え、


「じゃあ服も選んだし、そろそろお昼にする?」

「そうだな。フードコートなら好きなやつをそれぞれ選んで食べれるし、そこで良いか?」


そうね、と魔実は頷くと、三人はフードコートに向かう。



「むぐむぐ」


ショッピングモールのフードコートに移動した勇誠達は、それぞれ好きなものを食べる。


勇誠はカツ丼。魔実はソバで、フラメはカレーライスを食べている。


「フラメ、美味しいか?」

「うん!」


口一杯にカレーを頬張るフラメに、勇誠は問いかけると、フラメが太陽のような笑顔を向けてくる。それに和んでいると、魔実は持ち歩いているポケットティッシュを取り出し、


「ほらフラメちゃん、口の周りベトベトだよ」

「むぐ~」


フラメの口を拭いてあげていた。とは言え、フラメが食べているのはカレーなので、乾いてこびりついているのもあり、仕方なくフラメが飲んでいた水をティッシュに溢して濡らしてから拭くと、フラメのかわいらしい顔が、今度こそ綺麗になった。


「ありがとう。魔実お姉ちゃん」

「うん」


とは言え、すぐにまた口の周りをベトベトにして食べるのだが。


「……」

「どうしたの?こっち見てニヤニヤして」


そんな二人のやり取りを見ていた勇誠に、魔実は少し怪訝な目を向けると、


「いや、なんでもない」


結構魔実は面倒見が良い。子供好きだし、気心が知れた間柄だ。だからか、もしいつか子供ができたら、きっと良い母親になると思う。


そしてこんな風に子供と遊んだり、育てると言うのも、素敵かもしれない。


「そのためにも頑張らないとな」

「ん?何か言った?」


いーやなにも。と改めて覚悟を決めて、勇誠は笑うのだった。



さて買い物を終え、ショッピングモールからの帰り道。


「今日は楽しかったね!」

「そうだな」


勇誠と魔実の間に立ち、それぞれと手を繋いで歩くフラメに、笑みを浮かべる勇誠と魔実。


少し日が傾き、太陽が赤くなっていく中、橋を渡っていく。東桜市の丁度真ん中にあるこの橋は昔、桜町と呼ばれたこの辺り一体を、西と東で分けていたのだが、その後色々すったもんだがあった末に、東側に吸収合併やらなにやらでゴタゴタがあった後、東桜市として統一されたという過去がある。ただ今でも、こうして大きな橋があったりして、名残はあるのだが。


そしてこの桜橋は、非常に大きくて、結構高い。たまにバカがこの橋に登って写真を撮って、SNSにあげようとして落ちて大怪我した。なんて事件が年に2、3回位聞かれる。まぁ逆に言えば、高いとは言え落ちたとしても、酷くて大怪我くらいで死ぬことはないのである。例え今目の前にいる、生気のない目でフラフラと橋の手すりを登り、飛び降りようとしている東桜高校の制服を身に纏った女子生徒だとしても……って!


「危ない!」


勇誠は走りだし、もう既に落ち始めていた女子生徒の服の肩の部分を、ギリギリでキャッチ。体の半分以上が、こっちも橋の外側に出ていたが、そんなのを気にしている場合じゃなかった。


「なにしてんだバカ!」

「離して!もう死なせてぇ!」


何いってんだよと勇誠は必死に引っ張りあげようとするが、女子生徒が暴れて抵抗するため中々に大変だ。


「勇誠!」

「おにいちゃん!」


魔実とフラメも勇誠の腰にしがみついて引っ張るが、如何せんフラメが言わずもがな非力だし、魔実も決して身体能力が高い訳じゃない。


体勢的に、勇誠と女子生徒二人を一緒に引っ張りあげる状態なので、意外と大変なのだ。


「離して!離してぇ!」


更にこの女子生徒と来たら、半狂乱で暴れまわるせいで、持っている場所も場所だけに握力が奪われる。


(まずい。このままじゃ……)


勇誠がそう脳裏によぎった瞬間。


「魔実。フラメ。どきな」

『え?』


ドン!と二人は引き離され、何者かが勇誠の腰を、バックドロップの要領で抱き締めるようの持つと、


「おらぁ!」

「うぇ!?」

「きゃあ!」


ふわりとした浮遊感と同時に、勇誠と女子生徒は空に向かってぶん投げられ、橋の上に転がった。


「いってて……って!空!?」

「よう勇誠。折角のデート日なのに大変だな」


と胴着に身を包んだ空が、軽く汗ばんだ顔を、首から下げていたタオルで拭きながら言う。フラメと来たらそんな空をヒーローでも見るように見ていた。


「空お姉ちゃんすごーい!」

「だろ?結構鍛えてるからな~」


そんなフラメのキラキラした視線に答え、空もビシッ!と、構えを決めてフラメにサービスまで決めている。何だかんだで精神年齢が近いのか、こっちはこっちで結構仲が良い。


そんな二人のやり取りを見て、勇誠は苦笑いをしながら立ち上がり、


「走り込みか?」

「おう。軽く4、5時間程な」


それは軽くって時間ではないでしょ……と余り運動をしない(しててもそう思うだろうが)魔実が呆れながら、静かに突っ込みつつ、女子生徒の方を見る。


「ねぇ、貴女東桜高校でしょ?なら私の後輩だ。だから何か悩みがあるなら聞くよ?態々自分から命を粗末にするもんじゃない」

「うるさい!」


だがそんな魔実の気遣いを拒否し、目に涙を浮かべながら、女子生徒は魔実が伸ばした手を払う。


「私の事はほっといて!」


と言って走り出そうとする女子生徒の手を、魔実は慌てて掴む。


「ちょっと待ちなさいって」

「やめて!離してよ!」


と二人が揉み合った瞬間。女子生徒が生徒手帳を落とす。


「ん?」


勇誠はそれを拾い上げ、中身を見ると、名前は和賀 美月と言うらしく、更に一年らしい。そして、


「レイジ?」


そう。何故かこの女子生徒こと、和賀 美月と、東桜高校の制服を着たレイジのツーショット写真だ。


(こいつ、レイジの知り合いか?)


と美月を勇誠が見た瞬間。美月がビクッと怯えた目で勇誠達を見た。


「あ、あんたたち、もしかして……レイジの知り合いなの?」

「え?あいや、知り合いというか因縁があるというか……何て言えば良いかなぁ」


とオルトバニアについて話すわけにもいかず、どう説明したものかと考えながらしゃべると、何やら突然の美月は怯えたような表情をして、脱兎のごとく走り出した。


「あ、おい!」

「ちょっと!」


勇誠と魔実が止める間もないほど、見事なスプリントで、走り去って行こうとする。


「止めるか?」

「頼む!」


手短に聞く空に、手短に答える勇誠に答える勇誠。


答えを聞いて、空は少し腰をおとして走りだそうとしたが、


「ん?」

「ど、どうした?」


なにかに気づき、空は途中で走り出すのをやめ、美月が走り去った先を見て止まる。


「いや、誰かとぶつかったみたいだ。走ってない」

「あ、ホントだ」


と空が言い、勇誠も確かにと安心する。これなら見失わずに済みそうだ。


そうひと安心した三人は軽く駆け足しながら駆け寄ると、美月は酷く絶望したような顔でこちらを見る。


一体全体どう言うことなのか分からないが、とにかくだ。


「ちょっとまてよ和賀さん!ちょっと俺たちは話をしたいだけだ!」

「おい美月ぃ!てめぇどこ行ってやがったんだ!?あぁん!?」


またエラく柄の悪い連中(3名)に、美月は絡まれていた。なんか最近こんなのばっかだ。


「あぁ?なんだてめぇ。美月の知り合いか?ってまさかこんな冴えねぇやつをボディーガードにしたのか美月ぃ!」

「ち、ちがっ!」


慌てて否定する美月だが、その目は明らかに狼狽していた。仲間じゃないの?と……


「えーと、あんたらこそなんだ?和賀さんの知り合いか?」

「てめぇ関係ねぇだろうがよぉ!」


先に絡んできたのはそっちじゃねぇかよと思いつつ、勇誠は大きくため息を吐き、


「まぁ良いや。ちょっと俺達、この和賀さんに用事があるから借りるぞ」


とにかくただ事ではないと感じ取った勇誠は、美月を彼らから引き離す。だが、いきなり相手の一人から肩を捕まれ、殴られそうになるが、それをガードし、反撃に一発顔面に叩き込むと相手は後ろに吹っ飛んだ。


「いって~」


手をぷらぷらしつつ、勇誠は美月と一緒に後ろに下がると、


『待ちやがれ!』


と残りの二人と、もう一人も慌てて立ち上がって、追跡に加わろうとする。しかし、


「はぁ!」

「ぐぇ!」


空が割って入って、一人の腹部に蹴りを入れて怯ませると、


「このアマ!」

「らぁ!」


殴りに来たもう一人の拳をキャッチし、捻り上げながら合気道の要領で、グルンと相手の体を、空中で回転させながらぶん投げる。その回転した勢いを利用し、腹に一撃を決めて悶絶させた相手の上に叩き落とす。


『ごびゃ!』


変な声を出しながら潰れた相手二人を見下ろし、


「おい、お前はどうすんだ?」

「え?あのぉ……その」


仲間二人を瞬殺され、相手の目が泳いでいる。それを見た空は静かに、だが大きくため息を吐き、


「ビビって引き腰になるくらいなら、最初っから喧嘩何て売るんじゃねぇ!」

「べげっ!」


べきぃ!と大丈夫なのか心配になる音を出すほど強烈な首への回し蹴りを決め、相手の意識を刈った空は、首を軽くコキコキと回し、


「んで?コイツらなにもん?」

「そ、そっちこそレイジの知り合いじゃないの!?」


美月はこっちの問い掛けに答えず、質問に質問で返すだけだ。そんな美月に勇誠は、


「まず、レイジとは知り合いとは言えない。ただ顔は知ってる。正直好きなやつじゃない。寧ろ嫌いな位さ。俺の恩人にも酷いことしたやつだしな」

「そ、そうなんだ……」


と言いながら、地面に美月はへたり込む。そんな美月に、魔実が問いかける。


「今そこで空さん……あ、そこの胴着を着てる、暫定人間の女の子ね?その子に叩きのめされた連中はレイジの知り合いなのかしら?」

「おいこら魔実。誰が暫定人間だ。私はれっきとした人間だっつうの」


と言う空のぼやき華麗にスルーしつつ、魔実は美月の目を見る。


「だから安心して、私達は貴方に危害を加えたりしないわ」

「はい……」


少し呆然とした顔で、美月は素直に頷く。


「しかしあれだな。タケルといい和賀といい。あっちこっちにレイジのやつ迷惑かけてるようだな」

「タケル!?」


勇誠が何気なく出したタケルの名前に、美月は急に元気になりながら勇誠に詰め寄る。


「なんでタケルも知ってるの!?」

「は、はぁ?ちょっとした恩人みたいなものだよ」

「うそ!アイツ人見知りだし怖がりだし小心者だしビビりだしそんな人に恩を売れるような奴じゃない!」


怖がりも小心者も、序でにビビりも大体似たような意味だが、それを突っ込むのは止めておこう。今美月は興奮している。下手に弄ると爆発しかねない。


「と、取り敢えず落ち着け。まず近くにカフェがある。そこで少し話さないか?コーヒーとケーキくらいおごるからさ」

「お、サンキュー。私胴着だから金持ってねぇんだわ」


なんでお前まで……と喉元まででかかったが、正直空が居なかったら危なかったのだ。ケーキと飲み物くらいいいだろう。ただ問題は、空は鍛えてるせいか、エネルギーの消費が激しく、見た目は彼女達の中で一番小柄なのだが、一番よく飲み食いすると言う点だ。

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