第一章 新国家・キングダム

改めて異世界へ

「空気が美味しいねぇ~」


クルルーラとのゴタゴタがあり、勇誠達が隷属契約を結んだその日の夜。勇誠達は改めてオルトバニアに来ていた。因みに服装は皆私服姿である。


空は快晴。雲一つない青空に、地平線まで通く草原。ここまではクルルーラの案内で、フラメと勇誠が出会った森の中から全員で移動(本来神候補生は、転生者と共に移動し、道案内や世界についての説明を行うらしいのだが、クルルーラは勇女遠いかけっこの末に取っ捕まっていたため、勇誠が一人で森をさ迷う嵌めになっていたらしい)し、森を無事脱出。今回森の中ではなぜかモンスターに出会わず(これに関してはクルルーラも不思議にしていたため、クルルーラの仕込みではない模様)、安全な道のりであった。若干モンスターと戦ってみたかったらしかった、空が不満げな顔をしていたが、それは気づかなかったことにしておく。正直、今は安全第一が好ましい。危険はないに越した事はないのだ。と言うか、まず武器も全員持ってないし。


と言うわけなので、森を脱出した面々が目指すのは街なのだが、肺一杯に空気を吸い込んだ癒羅は、何度も深呼吸している。確かに、オルトバニアの空気は車の排気ガス等々がないため、基本的に澄んでいて綺麗だ。


東桜市は、結構日本の首都・東京に近く、比較的都会なため、空気がここまで綺麗ではない。


「山籠りによく行く田舎を思い出すなぁ」

「避暑地によく行く別荘を思い出しますわぁ」


と、同意しにくい例えをするのは、空と美矢である。まぁ二人の場合タイプは違えど、浮世離れしてると言う点では似た者同士なのかもしれない。


後これまたタイプが違えど、天才タイプだ。


空は武術特化型。美矢は手広く平均以上に出来るバランス型。どちらも勇誠にはない(よくも悪くもだいたい平均か、それ以下だ)ので、羨ましい限りである。


「それにしてもどうすれば良いわけ?」


そんな風に勇誠が思う中、こっちはこっちで空気を堪能し終えた魔実が、これからの目的を確認してきた。とは言え勇誠も何をすればいいのかわからない。何て思っていると、


「それでしたらまずは近くの町を目指して冒険者ギルドに加入して、冒険者になっちゃいましょう」

『ん?』


シュパ!と登場したのは、クルルーラだ。一応神候補生はこの世界では力は制限されて殆ど使えないらしいのだが、さっき言ったように、こうやってオルトバニアのナビゲーターとして共に行くのだが、さっきの森からの案内といい、ようやくそれらしい事をし始めてくれている。


「この近くには転生者の方が管理している街がありましてね。そこにいけば、冒険者ギルドに加入出来るはずです」

「何で冒険者ギルドに加入するんですか?」

「冒険者ギルドに加入すれば、冒険者として登録されて、様々な仕事受けるできますからね。まさか無収入でいる気はないですよね?いくら転生者でも無職無収入は、きついと思いますよぉ?」


そうクルルーラは勇誠に言ってきた。確かに無職で無収入は厳しい。何をするにも、金は掛かるものだ。それはオルトバニアでも変わらないだろう。人がいて、お金がある以上、お金はあった方が、色々と助かることも多い。


「冒険者ギルドでは、どのような仕事を貰えるんですか?」

「仕事ですか?そうですねぇ。最近このモンスター数が増えすぎてて問題だ~ってなった際では駆除をお願いされたり、危険なモンスターが現れたりするとそれの討伐。後は薬草摘みや、荷物運びとか、ボディーガードもありますし、冒険者じたい何でも屋の側面があるので、結構幅広くって感じですかね。刹樹さんは運動神経高いですし、行ってみれば受けれる仕事は多いと思いますよ」


とクルルーラの刹樹に対する説明を聞く限り、冒険者ギルドと言うのは、一種の仕事の斡旋場と言ったところらしい。何でも屋の側面を持つため、個人間ではなく一種の企業が一括で受け取り、それを冒険者に斡旋する。今で言うとハローワークに近い形態だと思われた。


そんな中、今度は魔実がクルルーラ聞いてきて、


「そう言えば私は確か黒魔術師らしいけど今のままじゃ魔法使えないんですか?」

「使えないことはないですが杖がないと魔法の狙いが付けにくいですし、魔法の詠唱文を丸暗記しないといけないので、めっちゃ大変ですよ?」


美矢さんみたく記憶力いいならいけますが……と言われ、魔実も決してバカではないが美矢ほどじゃないため、諦める。何だかんだで、ちょっと魔法が使えると言う状況に、少しワクワクしてる部分があったのに勇誠は気づいているが、魔実の名誉のために黙っておく。


そこに美矢が、


「紙とペンは街で買えるのかしら?」

「あ、それは大丈夫ですよ。オルトバニアは転生者が沢山いますので、それによって現代のボールペンとかシャープペンも普通にありますしノートもありますよ?」


なんだ意外と近代的なんだな……と空が思わず呟く。それに関しては同感だし、何よりシャープペンシルと言うのは元より、ボールペンやノートだって、そんな大昔の代物ではないが、確かボールペンの最初は1884年にスタートしそれから、技術が進化していった結果今に至る。


幾ら転生者としての能力があるとは言え、転生者がボールペン等を作ったのだとしたら、幾ら現代で知ってるとは言え、そう簡単に作れる代物じゃない。知識じゃなくて材料やそれを作る技術が必要だ。だが結構普通にオルトバニア全土に流通してるなら、何かしらの形で大量生産できる状態が整っているのだろうか……


オルトバニアに転生者が本格的に入れられ始めたのは、ここ一年ほどの事らしいので、街によるらしい(転生者の存在や、転生者の能力によるとのことだ)が、結構驚異的な速さで、場所によっては文明レベルが上がっている可能性がある。


「そうなんですよ。なので結構快適で街によっては、凄いSFチックに近未来的なのもありますよ?」


それはちょっと見てみたい気もする。と本を読むのが好きな癒羅は少し思った。基本的にミステリーや恋愛(BL系が多いのは余談)ばかり読むが、SFも嫌いじゃない。何時も文字からイメージする世界が、この目で見る事ができるなら、この世界に来た甲斐があると言うものだ。


何て癒羅が思いながら、後ろを着いてくる中、他の面子で更に説明を受けながら、クルルーラに着いていく中、フラメが勇誠の服の裾を掴みながら、突然聞いてくる。


「ねぇお兄ちゃん。お兄ちゃんは魔王を倒すの?」

「え?いやどうなんだろう……」


本当なら勇誠達のいる世界に留守番させておきたかったが、隷属契約の関係上連れてこざるを得なかった、フラメにいきなり問われ、勇誠は頭を掻きながら、


「そもそも俺達がここに来たのは勉強のためだからな……」


実際、魔王をどうこうするつもりは殆どない。確かにクルルーラの言うとおり、魔王が引き連れるモンスターが人々を苦しめてるのかもしれない。だが、それをわざわざ魔王を討伐して世界を救うかと聞かれると、そこまで高潔な精神は持ってない。自分は正義のヒーロー何てガラではないと思ってる口なのだ。精々一緒に居たいと思った、この魔実・空・刹樹・癒羅・美矢達五人のために体張るのが精々だ。まぁ彼女達の前でカッコつけるために多少は頑張るかもしれない。でも世界を救うために命や体は賭けれない。元々彼女達のために命を懸けるつもりもないが。


なにせ命を懸けて死んだら皆と一緒に生きられない。彼女達と決めたことだ。例えこの先どんなことがあったとしても、命を大事にすること。死んで何かを残すようなことはしないと。生きて

明日を一緒に生きる事。それを絶対守ろうと。


まぁそれは置いといて、何度でも言うが、この世界のために頑張るつもりはない。勿論この世界で生きていくうちに、この世界に愛着が沸くかもしれないが、今のところそこまでの愛着はない。少なくとも、彼女達より優先してまでのものでは決してない。


すると、


「ですよねぇ」

「どうしました?」


と少しだけ残念そうなのはクルルーラで、なにか問題でも?と聞くのは刹樹だ。


「いえ、最近の転生者さんって皆異世界でのんびりスローライフ送っちゃう人も多くて、今からいく街もなんですけど、市政に手を出したり、革命始めたり農業や畜産やったり、産業はじめたりと、どこも魔王討伐に行ってくれないんですよぉ……どいつもコイツもチートだから、短期間で色々できますしねぇ。まぁ一部は魔王討伐を目指してる人もいますけど」


まぁ確かに、力を手に入れたら、その力を使って色々やってみたくなる気持ちも分からなくはない。少なくとも、痛くて苦しい思いをするくらいなら、取り敢えず力を使って冒険より今クルルーラが言った、のんびりスローライフを送る方が何倍も有益だろう。


そんな勇誠の思いには気づかず、トホホと嘆きつつもクルルーラは、


「なので片手間にでも良いので魔王討伐を目指して貰って私を神様にして頂けたらなぁと」

「二重の意味でやりたくないわね……」


二重の意味?と魔実にクルルーラは聞き直すと、


「だって勉強の片手間って言うのは大変だし何よりクルルーラさんが神様ってくのはちょっと不安なんですよね」

『あぁなるほど』


確かにと皆が頷き、クルルーラは目を見開きながらどう言うことだと魔実の詰め寄る。


「だってクルルーラさんちょっと抜けてそうだし、神様何て言う地位を与えたら結構危なそうで……」

「カァー!分かってませんねぇ!まずそもそも神候補生になるって言う時点で優秀じゃなきゃなりません。神の力の強さや操作だけじゃなく、筆記試験にも受からなきゃいけませんし、素行調査もされて挙げ句にストレスに晒されても大丈夫かのチェックだとかいって圧迫面接までされるんですよ!?」


唾を跳ばしながら力説するクルルーラに、魔実は分かりましたから落ち着いてと言いながら顔についた唾を拭く。


とは言えだ。正直、今皆でいったように、この抜けている小心者で子悪党なタイプのクルルーラは、このまま万が一でも神なんて言う立場にしてしまったら、トンでもないことをやりそうだ。それこそ神の世界までメチャクチャにするような、前例のない大事件を引き起こしそうな……そんな気配がある。


まぁ実際、クルルーラが言うように神何て言う重責を担うのだから、神候補生であったとしても、誰でもポンポンなれるようなものではないんだろう。逆に言えば、よくクルルーラがなれたなと思わなくもないが……何て言ったら、クルルーラは確実にブチ切れ案件だろう。


「何か失礼なこと考えてません?勇誠さん?」

「いや気のせいですね。しかしどれくらい歩けば着くんですか?」


と歩きながら、心を読まれたのかと少し焦りつつ、勇誠はシャドーボクシングをしている空を見て、クルルーラから視線を外した。


「何か釈然としませんが、まぁいいでしょう。取り敢えず最寄りの町までなら、真っ直ぐ向かえば半日くらいですかねぇ。皆さん身体能力上がってるので、ある程度は歩きづめでも大丈夫だと思いますが……」


平気ですか?とクルルーラが聞いてくるが、皆は取り敢えず大丈夫だと言う。そもそも勇誠・刹樹・美矢の三人は運動部出身だし、魔実も結構運動神経自体は平均的。心配なのは癒羅くらいなものだが、今のところは平気そうだ。


空?空は特殊なので別枠である。コイツは人間の範疇にはいない特別な人間だ。多分先祖はミュータントとかかもしれない。それくらい人外の存在なのだ。だれがなんと言おうと、こいつは人間ではない。そんな彼女でも勿論愛しているが。


「うん、確かに凄い体が軽い」


そんな空はそう言って、その場でクルンと飛び上がった勢いだけでバク転(一回勇誠が真似したが、思いっきり後頭部を強打して、酷い目にあったため、良い子は真似しないようにしよう)したり、ゆっくりと足をあげてハイキックの体勢を取ってみたり(これは股関節の柔らかさは勿論だが、バランス感覚が非常に重要で、勿論真似しようとしたが出来なかった)と、違いを体に覚えさせるのに勤しんでいる。それを見たクルルーラは、


「空さんって元々身体能力が高いようですし、これは頼りになりそうですねぇ」

「まぁ……確かに身体能力は高いですね」


思わず遠い目をしながら勇誠が言うと、クルルーラは首を傾げ、他の皆もウンウンと頷いているのを見る。


「どうしたんですか?皆さん遠い目をしながら頷いて」

「いやまぁ……うん。空はちょっと特殊と言うか人類の範囲外と言うか……」

「空先輩は私達とは種族が違うと思います」


なにせ空は、授業の体育の数値は平均的(抑えないと、運動部からの勧誘でヤバイことになる)だが、その気になればもっと凄い。


瞬発力は元より、バーベルをあげさせれば自己ベスト140キロ。走れば100は10秒を切る(非公式記録)脚力。そして不良狩り時代(今はしていないが、中学時代面倒ごとに首を突っ込んではそう言うことをやっていた)には、チンピラ暴走族みたいなやつらに片っ端から喧嘩を売りまくり、本職のヤクザまで出て来て、銃やら刀までもった相手凡そ50人を相手に、正面から殴りかかって、返り討ちにさせた挙げ句、本部にまで乗り込んでお礼参り後に綺麗に全部一掃して壊滅させたなど、こう言った伝説をあげていったら枚挙に暇がない。


しかもそれを、150少しという決して恵まれた体躯じゃない上に、空は男勝りではあってもれっきとした女性だ。下手な男よりずっと便りになるが。


しかしこれでも大分大人しくなった方なのだ。信じられないかもしれないが。正直勇誠達はその頃を知っているため、大分穏やかになったなぁと本当に思っているくらいだ。


とは言え、そんなことを逐一説明するのもあれなので、適当に濁しつつクルルーラの疑問に、勇誠と刹樹はそう答え、クルルーラは益々どう言うことだと疑問符を飛ばす。



さて半日ほど歩き倒し、その間も勉強のため、口頭で美矢から出される問題に勇誠は答えていたのだが、確かに街が見えてきた。


そこは高い石壁に囲まれた、遠目から見ても分かるほど大きな街で、街に入れる門の前では、兵士が立って入ろうとしていると思われる人達に色々聞いている。


「やっと着いたぁ」

「えぇ、転生者が管理していると聞いてましたが見たところそこまで問題はなさそうですわね」


美矢曰く、幾ら能力があるとは言え、国などの大きなコミュニティの管理は決して簡単なものではない。余程元からそういった管理の仕事への才能があるか、周りの人間が優秀か……なので、少し警戒していたらしい。


まぁ実際のところは、ちゃんと中に入ってみないと分かりませんが……と勇誠に美矢が答えると、クルルーラが皆に言う。


「じゃあ入りましょっか。見たところ書類と簡単な質疑応答みたいですし」

「ですが、私達この世界の言語かけませんけど?」


そんなクルルーラに癒羅は心配そうに聞くが、彼女は心配ご無用!とドン!っと胸を叩きながら言い、


「この世界では向こうの世界の言語で書いてもオルトバニアの住人にはこの世界の言語で書いてるように見えるようになってるので、日本語だろうが英語だろうが何書いても言語であれば問題ないですよ」

「便利な世界……ですね」


と驚く刹樹にクルルーラは偉そうにフフンと偉そうに鼻を鳴らした。作ったのは先代の神様っあって、少なくとも彼女ではないが……何て思いつつ並ぼうとすると、


「あ、その前に……」


クルルーラはそう言いながら少し影にいくと、羽根と頭の輪っかを消して一見すると普通の女の子に見える姿に変わってから出てきた。


力を制限されてるとは言え、それくらいの事は出来るらしい。


「何時もの格好だと驚かれますからね」

「成程」


一応その辺は結構考えているらしく、クルルーラにしてよく考えてると皆は感心しながら並ぶ。


「あれ?今すごくばかにされたような……」

「気のせいじゃないですか?」


クルルーラが何かを察したようだが、勇誠はそれを否定しつつ、


「そう言えば一応勇者なのは隠した方が良いですか?」


やはり勇者と言う事を名乗って、何かしらのメリットもあるかもしれないが、デメリットもあるかもしれない。と思い、その辺はどうなのか、クルルーラに勇誠は聞いてみると、


「ですね。チヤホヤしてくれる人もいますが、疑われて白い目で見られたり、どうしても面倒ごとに巻き込まれますし」


と一応周りに聞こえないように、顔を寄せあってボソボソと勇誠とクルルーラは話し、


「あ、順番来たみたい」


魔実が言うように、意外と早く順番が回ってきた。見てみると衛兵達は、結構テキパキと応対をしている。


「えぇと……旅人かな?いったいどのような用向きで?」

「あ、私達田舎から出てきたんですけど、ギルドに加入して冒険者になりたいんです!」


クルルーラは、恐らく予め回答を考えてはいたと思われるが、それもハキハキと答え、衛兵らしい人も、成程と頷きながら書類とペンを全員に配ってきた。


「ここに名前とこっちに年齢。それと持ち物検査だ……って言っても見たところ手ぶらだな。この辺りに村はないのし、結構遠くも村だろ?まぁこの辺りは近くの森に入らなきゃ、モンスターに出会うことはないとは言え、よくもまぁ手ぶらで来たもんだ」

『い、いやぁ……』


アハハと皆は笑ってしまう。確かに手ぶらというのは変かもしれない……と言っても荷物を調達する場などなかったので、例えここに来る前に思い付いてたとしても、どうしようもなかったのだが。


「ふむ。問題はなさそうだな」


そんなやり取りをしつつも、適切に欄を埋めていき、書類を書き終えて、その後衛兵に簡単な検査を受けると、


「特に問題はないな。よし入って良いぞ、そしてようこそ!新国家・キングダムへ」

「新国家?」


衛兵の言葉に勇誠は首を傾げた。態々新国家、なんて仰々しく着けてる何て変わった国である。だがそんな勇誠にクルルーラが説明。


「この国は転生者が管理していると言ったでしょう?最近転生者をリーダーとした革命があったんです。今のオルトバニアでは珍しいことじゃありません」

「あぁ、それで新国家か。何か態々新国家なんて仰々しく着けてるから変だと思ったよ」

「まぁ態々着けてる国もめずらしいのは事実ですが……」


意外ともしかしたらこの革命を成功させたと思われる転生者は、見栄っ張りか、単純にネーミングセンスがないのかもしれない。何せキングダムだし……王国ってそのまんまじゃねぇか。と冷静に考えたら色々突っ込みたくなったが、それは我慢。


他の皆も同じことは思ったようだが、一先ずは成程成程と勇誠だけじゃなくて他の皆も頷き、衛兵の先導の元、門をくぐって街に入っていく。


まぁ色々あったものの、一先ずはスタートラインにたったと言うところだろう。これからまた色々あるだろうが、それでも皆と一緒ならなんとかなるだろう。なんてふざけ半分で思うと、勇誠の口から思わずでた言葉。それは、


「俺達の冒険はまだまだ始まったばかり……ってか」

「なに?どうしたの?そんないきなり打ちきり漫画の常套句何か言って」

「いやぁ、何か一回言ってみたかったんだよね。でも中々言うタイミングなくてさ。魔実だって、一回言ってみたいセリフあるだろ?」

「ゴメン分かんないや」


魔実とは基本的に息ピッタリだが、こう言うところだけは理解し合えないのである。

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