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@moHuRo

第1話 聖女とは

この国、“キルルア”には昔から貴族にも庶民にも語り継がれている伝説がある。

「聖女が生まれし地は、神の御加護を得る。」

すごくざっくりとした内容だが、今までの聖女は確かに「神の御加護」とやらで国に貢献してきた。

50年前に見つかった聖女は未来予知の力を持っており、災害や洪水を予知して、事前に住民を避難させて人々を救った。

100年前に見つかった聖女は治療の力を持っており、当時の医者には治せない難病を患者に手をかざすだけで治した。


そう、聖女は50年単位で見つかる。案外レア度は低い。


聖女は毎回12歳の時に覚醒し、国に保護される。覚醒するまでは普通の女の子として過ごしており、本人にもその自覚はなく、神の御加護もまだ使えない。

前の聖女が覚醒してから50年経つと、次の聖女として覚醒した女の子は眼の色が変わる。

そうすると、その子は自分が聖女であることを自覚して、自分が使える神の御加護を知る。

眼の色が変わったことは直ちに国へ報告するよう義務付けられており、後にお迎えがきて国に保護される。


ちなみにこの世界は髪の色は黒や金色、赤色と様々な色が存在しているが、瞳の色は総じて黒だったため、黒以外の瞳の色であれば聖女確定である。聖女であることを隠すことは困難だ。


そうして国に保護される聖女だが、“神の御加護“は50年で失う。

力を失った元聖女の扱いは、一度保護した聖女を無碍に扱うのは気が引けるのか国が引続き面倒を見てくれるらしい。


とても単純で分かりやすい仕組みだ。


聖女となった子の家族は、聖女への面会は月一と制限されるが、代わりに国から褒美を貰えるため問題になったことはない。

聖女は貴族からも庶民からも見つかり、貴族の場合は役職を上げてもらったり、庶民の場合は屋敷と家政婦をもらったりで、褒美の内容は様々である。



さて、今年は今の聖女が覚醒してから50年だ。つまり聖女が見つかる年だ。

今さっき、キルルア国の端にある孤児院に瞳の色が変わった女の子が“2人”いた。

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