再会。
「ヴー」スマホの通知が鳴った。見てみると
『◯◯が芥川賞を受賞』というニュースだった
あぁそういえばこんな時期だったなと懐かしく思いながら、通知のタブを横にスライドして消去した
昔は芥川賞を受賞する誰かのニュースを見るたびに
負けてはいられないと意欲を掻き立てられていたが
今では他の人が受賞するのを見ても焦ったり
嫉妬したりしない自分が情けなく苦しかった
「ヴー」?また通知だ
上を向いた視線をもう一度画面へと向けた
「今日来ないのか?」洸太からだった
今日は洸太と二人で飲みにいく約束をしていたのだ
すっかり忘れていた。
洸太は高校からの友人で一番仲が良かったと思っている。俺が本を書き始めたのは洸太と出会ってからだ。気が合うというわけではなかったが
何故かよく一緒にいた。
「ごめん、今から行く」と簡潔に返事を返し
スマホをズボンのポケットへと入れて
掛けてあった上着を着た。
いつの日か誕生日に親からプレゼントしてもらった財布に札が入っているのを確認してから家を出る
外は冬が近づいているのか少し肌寒かった
通り過ぎて行く人はマフラーを巻いていたり
カイロを手でこすりながら歩いていく
地球温暖化が進めば日本の四季はなくなる
というニュースを見たことがある
もし、そうなれば冬に暖房を使うどころか、
冬にクーラーを使う時代が来るのだろうか
そんなどうでもいいことを考えているうちに
目的地の居酒屋と目があった。
居酒屋に着くと洸太が手を振っている
洸太「おお!陽介。こっちだこっち。」
手を振り返して小走りで行こうとした時
横で笑っている女性と目があった。
一瞬、時間が止まったように感じた。
整った顔、スラっと伸びた足は器用に組まれていて
白すぎない肌が健康的だとよくわかる。
そして、なにより僕のよく知る人だった
「久しぶりだね。陽介」
俺「由美。変わってないな」 由美「陽介は老け過ぎです(笑)」
由美は幼馴染みだ。小学校から高校までずっと一緒
男勝りで兄貴肌、それでいてしっかりしていた。
そして、そんな由美のことがずっと好きだった
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