第8話 どきどき・オフ会

 とりあえずカフェに入り、パフェを注文した。

「おまたせしました!いちごたくさんパフェ5つです!」




「ふーん。それで、2人は本当にお互いのこと知らなかったんだ?」


「うん 本当だって」


 ここまで分かったことは…俺はホームズのことが好きで、和泉さんのことも気になってたんだ。


 だから和泉さんがホームズって分かった瞬間ほんと嬉しかった――



色んなことが重なってできた奇跡だな。


これで和泉さん…ホームズが俺のことを好きになってたらもうめっちゃ嬉しいんだけど。


さすがに普通な俺が和泉さんと両想いなんてないな…


――俺が和泉さんに釣り合うわけないしな――


ふと、この間思っていたことを思い出した。


そうだよ。元々俺なんて普通の男子でイケメンでもないし頭もそんな良くないし…



――――――――――


「「放課後、校舎裏へ来てください

大事な話があります」」


これは中学の頃、クラスで一番可愛い子に言われた言葉だ。


こんなの誰でも告白だと思うはずだ。


俺みたいな奴でも可愛い子に告白されるとは…なんて感慨に浸ったのも束の間。


放課後、校舎裏へ行くと、


「大事な話があるって言ってたでしょ…?それね…あの…海斗くんと付き合えるようにしてほしーの…」


と上目遣いで言われた。


これには俺もショックだった。


告白でもなかった上に友達とのキューピッドをしてほしいなんてひどい話だ。


前から海斗は友達を使って仲良くしようとする女子を嫌がっていた。


別にいいけど何で直接来ないんだよ、と。


「海斗は直接仲良くしたい、って来る子がいいみたいだよ」


「ひ、ひどいっ‼︎」


海斗が言ってることは正しいし海斗は全然ひどくないって俺は思うけど。



「まずあんたみたいなのが海斗くんの友達ズラしてんのが気に入んないのよ‼︎あんたなんか教室の隅で本読んでろ‼︎」


あ、俺? ひどいって言われたのは俺の方か。


よく分かんないけど最後偏見ありすぎだな。


その女子が悲しみと怒りで走り去っていく風が、俺の心を冷たく笑っているようだった。


それから俺はこういう事をしてくる女子が苦手になった。



つい、昔の嫌な事を思い出してしまったな。


「おーい、翔ぼうっとしてっけど大丈夫か?」


「あ、うん。ごめん、ちょっと昔のこと思い出してた」


でも、和泉さん…ホームズはそんなことするわけないといつも話してる俺は知ってる。


「翔くん、パフェ美味しいね〜」


今は嫌なことなんて考えずに、ひたすらに和泉さんに恋をしよう。


「うん。美味しいなぁ」




ひたすらに楽しかった。


そんなことを思ったオフ会だった。

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