うちの大家さん(の孫)が可愛くて仕方ないんですけど、僕はどうすればいいでしょうか!?
403μぐらむ
第1話
放流……大きく育ってくれるかな?
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「貴匡くん。お休みのところ悪いんだけど手伝ってくれない?」
階下でかすみおばあちゃんが呼んでいる声がする。
僕、
僕の親は急な海外赴任により昨年から日本にはいない。それよりずっと前から僕は一人で暮らしているんだけど、その割には生活スキルがゼロに等しいくらいなので、かすみおばあちゃんに食事から身の回りの簡単なことまでお世話になっているのだ。そうしてたまにおばあちゃんのお手伝いをすることでちょっとだけ恩返ししているわけ。
「はーい。今行きますからちょっと待っていてくださいね」
一年前の僕の引っ越しのときにはかすみおばあちゃんの長男さんだという
僕が高校一年生の時はおばあちゃんも元気で何でも身の回りのことを何でもやってくれていたが、今年になり少し足の調子が悪いと言っているのが心配だ。僕も手伝えることを少しずつ増やしていき、おばあちゃんも自分の孫のように僕を頼ってくれるようになっていた。
「はいはい。おまたせ、おばあちゃん。どうしたの?」
「急な話だけれど、今までここに住んでくれていたのは貴匡くん一人だけだったけど四月から、私の孫もここに住むことになったの。貴匡くんの部屋の隣のベランダ沿いの部屋になるから、もしうるさかったらごめんなさいね」
それで、引っ越しの荷物と新たに購入した荷物が今日搬入されるのだけど、玄関先からその部屋までの動線を片付けておかなければならないと言うことだった。
「貴匡くんが入った後は誰も入ってこないから、玄関先にいろいろ置きすぎちゃったからね。これが邪魔なんだっていうの。ごめんね、片付けるのを手伝ってくれない?」
足が悪くなったおばあちゃんは、なるべく動かないで済むように玄関先や導線上にいろいろな必要な品物を置くようにしていたのが今回引っ越し品等の搬入の障害になるようだった。
「これくらいの量なら僕一人で片付けられますから、おばあちゃんは休んでいてくれていいですよ。一旦、置いてあったものは居間の方に入れちゃえばいいですかね?」
「ありがとねぇ、じゃあ、婆ちゃんはお昼ごはんの用意をしているね」
今は昼ごはんにはだいぶ早い十時だけれど仕事を頼んでおいて自分は何もしないっていうのが耐えられないんだろうからお願いしておく。
そのお孫さんはおばあちゃんの三男さんが婿に行った先の子で、その三男さんは約五年前に事故で他界、お母さんも何らかの事情で一緒に暮らせなくなったとかでおばあちゃんのところで成人するまで面倒を見ることになったんだっていう。
お昼ごはんを食べながらそんな話をしていたら、引越し業者さんがやってきて、次いで新しく買ったものの配達業者も来たのでてんやわんやの大騒ぎになってしまった。
おばあちゃんは途中から来た純生さんに外へ連れて行かれてしまったので、今日の夕飯は近所の牛丼屋で済ませた。
何でも、おばあちゃんは医者に行かなければならなかったのに荷物が来るからとすっぽかし、お孫さんの話もあるからという純生さんの話もすっぽかしたそうだ。おばあちゃんは両方を済ますために連れて行かれているのに『貴匡くんの夕飯が……』と謝ってくるので、「そっちが優先ですから」と僕は送り出したのであった。
お孫さん当人は学校の新学期の始業式後に直接来るそうだ。
(学校とか言っていたからお孫さんて学生なんだよな。どこの学校かも年齢とかもそういえば何も聞いてなかったよ……まあ明日になれば分かることだし良いか)
明日から新学年、新学期なのでさっさと寝ることにした。
おばあちゃんは夜遅くに帰ってきたようで純生さんへの文句を朝食をとりながら言っていたよ。
☆*:;;:*★★*:;;:*☆
四月はじめは土日だったため今日は四月三日。
高校二年生の新学期が始まった。
各人のクラスの発表はWEBで学籍番号照会をすれば三日前には分かるようになっているので今ひとつ盛り上がらない。誰と一緒かまでは個人情報なので開示されないらしいが。
「お~っす。今年もまた一緒だな」
こう言って肩を叩いてきたのは、
「昨日LINEで聞いたからな、感動が薄いな」
「一緒といえば、あいつもだぞ」
徹平の指差す先を見れば、数人の男女に囲まれている女生徒が見える。
「うん。一昨日聞いた………」
彼女は
僕とはそれこそ生まれたときからの幼馴染だ。我が家が色々あって引っ越していくまで家が隣通しでいつも一緒にいたと言っても過言でない女の子だ。
「あ~ 貴匡! また同じクラスなんだね。もうっ、なんで教えてくれなかったの?」
「どうせ今日来れば分かることだろ?」
「え~ なんで!? 貴匡が意地悪するよ! 徹平くんも何か言ってあげてよ」
「あ、いや。お疲れ様」
「ナニソレ? 徹平くんまでひどーい」
終始この調子で暗いとか落ち込んでいるなんてことは殆どない。明るくって活発でしかも見た目も可愛いときたら、みんなの人気者になるのは当然だと思う。
中学生の頃からゆかりに告白してくる男子は数知れず。高校に入ってからの一年でも両の手では足りないくらいは告白を受けていると思うが、僕はもう興味がないので知らない。
「ねえ、ねえ、貴匡。相手してよう」
ゆかりは僕の背中に抱きつき甘えた声を出してくる。
クラス中、いや廊下からも鋭い視線を向けられるが、知ったこっちゃない。文句があるならゆかりに言ってくれ。
僕にその気がないのはゆかりももう分かっているのだから自分自身で区切りをつけてもらいたい。
やっと始業のチャイムが鳴り、ゆかりも離れて自分の席に戻っていった。
☆*:;;:*★★*:;;:*☆
朝からのゆかりの猛攻にどっと疲れてしまって机に突っ伏していると隣の席から視線を感じた。
僕の隣の席は
「な、何か用事かな?」
じっと見られていたので聞いてみた。
「水島さんと仲睦まじいようですが、ここは学校なのでもう少し
初めて聞いた彼女の声と初めての会話がこれか。
「一応僕は拒否しているんだけど…………うん、ごめんね」
平林さんはそれだけ言うと前を向いてしまい二度とこちらを見ることはなかった。 その後、話しかけようと思うも、どうも話しかけづらい雰囲気だったので早々に諦めるしかなかった。
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10話まで書いて全ボツにして5話まで書いて全部消して、プロットボロボロ状態で川の流れに身を任す放流を実施……
いかがでしょうか?
2020・11・9冒頭の親の動向を以後の話と整合性が取れないために変更。
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