女に優しくするのやめてみた~唯一の取り柄だった優しさと脂肪を削ぎ落とした結果、残念なイケメンが誕生した~

兎井まだか

第一章

第1話「女に優しくするのやめてみた」

日 下 部くさかべ  元 日もとはる

 黒板に書かれた自分の名前。その横で俺は転校初日の挨拶を始めようとしたところだった。


「がんじつ? なんか正月みたいでおめでたい名前じゃん。明けましておめでとうーってね」


 俺の名前を見て一人の頭の悪そうな女子生徒が笑う。するとクラス中が笑いに包まれた。ギャハハといかにも品のない笑い方だ。


「こらっ、人の名前で笑わないのっ!」


 俺の横に居た担任の女教師が注意するが効果はない。


「だって先生、何て読むかわからんしー。もしかしてそれでハッピーニューイヤーって読んだりしてっ」


 二度目の爆笑が起こる。

 担任は生徒たちを静かにさせようと必死に声を発しているが、そんなものでこいつらのバカ騒ぎが収まるわけがない。


「ちょっ、マジ腹痛いから早く本当の読み方言えし!」

「そうだよ、なんて読むの?」

「てか、マジイケメンじゃない?」


 どいつもこいつも好き勝手に口を開いていて、人の話を聞くような状態じゃない。

 まったく、これだから女は嫌いなんだ……。


「黙れクソ女ども」


 教室の大半を占める女たちは俺の一言で一瞬で静かになった。

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