第9話 マッスル毛皮

 テレレッ♪テレレッ♪テレレッテッ♪Hey!!

 寿司寿司寿司寿司寿司 好き♪

 ファッキュウさん♪


「またしてもやられたそうじゃな…新右衛門」

 感情を押し殺したショーグンの前で土下座する新右衛門。

「…言葉もございませんファーック‼」

 フローリングをぶち抜くほどに拳を床に叩きつける新右衛門。

「その床の修理費…貴様の給金から引いておくからの…」

 血の気の引いた顔がムンクの『叫び』を彷彿させる新右衛門。

「財布も口座もカラカラでござるよ…トホホ」


 トボトボとキャッスルを後にする新右衛門、なぜか足はキャバクラ『奇凶夜』へ…

「え~…新右衛門さん、お金ないの~?」

「そうなのでござる」

「知ってる? 腎臓って2個あるらしいわよ…1個あればよくない?」

 やよい嬢がシレッと臓器売買を薦めてくる。

「嫌でござる…しかし…冷えてきたでござるな…」

「そう?」

 ペラペラの着物の新右衛門、フワッフワッの毛皮を纏う、やよい嬢。

 貢ぐ者と貢がれる者は身なりで解る。

 持たざる者、その名は『新右衛門』

「毛皮…獣の皮…拙者も欲しいでござるー‼」

「あの~店の前で吠えないでくださる、ゴリラ侍」

 振り返ると、さや嬢。

「邪魔なんで、店に入らないなら帰ってくださる? ここから先に入ったら客‼ 入らなきゃゴリラ‼ その胸毛で毛皮作ったら?」

「ウホォー‼」

 負け犬…いやゴリラが一頭、夜の京へ消えていく…

「悔しいです‼」

「あん?」

 ゴテゴテの毛皮を羽織った和尚の前で涙を流して吠えるゴリラ。

「退け‼ 金なしゴリラ衛門‼」

 カゴに乗って『奇凶夜』へ向かう和尚が涙で見えない…

「どうした? 迷えるゴリラ…話してみなYo このファッキュウに」

 暗黒寺の門にもたれ掛かり、安っすい葉巻を吹かすファッキュウさん。

「ファッキュウ…」

 すがるような思いでファッキュウに思いのたけを、ぶち撒ける新右衛門。

「じゃあ…行くかい? 理不尽をぶち壊しによー‼」

「ファッキュウさ~ん‼」


『奇凶夜』の前にドズーン‼と立札を立てたファッキュウさん。

『毛皮を着ているもの、入店禁止』

「毛皮狩りYo」

「勝手に始めて大丈夫でござるか?」

「OK OK 無問題‼ 店長とは話がついてるYo」


「ツケで遊びまくる和尚を? よろしくお願いいたしますファッキュウさん」

 By店長。


「ファッキュウ…何をしとるんじゃ?」

「BOSS こういうことYo」

「ふざけおって…退けファッキュウ‼」

 ズカズカ入っていく和尚。

「入っちまったぞファッキュウさん」

「グフフ…かかったYo」

 ドンドコドンドコ…

 太鼓がビートを刻む店内。

「BOSS…毛皮を着たまま入ると…あぁなるのYo」

「太鼓がどうした?」

「太鼓も毛皮を巻いているから…叩かれているのYo」

 ビュッ…

 和尚の顔をファッキュウの素振りが掠める…。

「ま…さ…か…」

「燃えろ、Meの小宇宙‼ ペガサス流星拳‼」

 ファッキュウの拳が音速を超える‼

「アワワワワワワ…はぐわぁー‼」

 和尚の断末魔が店内に響く。

「ご利用は…計画的に」


 HAHAHAHAHA‼


 ファッキュウさん♪

 テレレッテッテHey!!

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