第803話 こーつーじこ
ドンドンドンと玄関を叩く音がしたあと
「たすけてください!」
と子供の叫ぶ声が聞こえた
慌てて玄関へ向かいドアを開けると、小さな見慣れない子が立っていた
「どうしたの?」
「こーつーじこ、たすけてください!」
子供はそれだけ言うと、ついて来いという風に走り出す
私は、救急車を呼ぶための携帯だけもって子供に着いて行った
「あそこです!」
子供が指さした場所は近くの公園の前で、そこに車が止まっている
「大丈夫ですか!? 怪我人は!」
私は近くに居た運転手らしき人に怒鳴ると、運転手らしきひとはびっくりした顔で
「あ、ああ。怪我はしてないよ」
「じゃあ、誰が轢かれたんですか?!」
「え? ああ……」
運転手は、車の後ろの方を指さす。すると、そこには体が半分近く潰れている猫がいた
まだ生きているようで、必死に手を動かしているが、もう助からないだろう
「あれ?」
ここに案内してくれた子供が見当たらない
代わりに、その猫の子猫だろうか、小さな猫が親猫に向かって「にゃ~」と鳴いていた
しばらくして、親猫は動かなくなり、子猫はどこかへ行ったようだ
あとは市役所等に任せることにして家に帰る
家に入り、玄関のドアを閉めた瞬間
「なんでたすけてくれなかったの?!」
とドア越しに叫ぶ声が聞こえた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます