第802話 うるさい

明日、早起きしなければならなくなったため、まだ夕方の6時ではあるが布団に入る


住んでいるのはマンションで、いつもは気にならない生活音が今日はやけに大きく聞こえる


隣の家族の子供の足音だろうか、どたばたとする音


上の住人のものか、コツコツと何かを叩く音


車のクラクションや、改造バイクの爆音など


「うるさい!」


俺は思いきり叫んだ――つもりだった


けれど、声が出せない。もう一度、今度は窓を開けて外に向かって叫ぶ


「うるさい!」


そこで目が覚めた。いつの間に寝ていたのだろうか。けれど、時刻はまだ20時で、ぜんぜん寝足りない


再び、目を閉じて眠ろうとしたら、耳元で


「お前の方がうるさい」


とボソッと言われた


当然、そこには誰もいなかった


そして再び目が覚める。自分では、寝ていたとは思えないほど、リアルな感覚があった


目がさえてしまい、眠ることが出来ない


それどころか、こんな夜なのに工事の音まで聞こえる


「うる……」


「うるさい!」


今度は、俺がうるさいという前にうるさいと言われてしまった


また、いつの間にか寝ていたようだ

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