第785話 同窓会を
同窓会前日、俺は小学校に来ていた。30歳の同窓会を小学校の校舎で行うためだ
「おーい、こっちも手伝ってくれ」
「分かった。今いく」
有志のみで準備を行う事になったのだが、40人近く居るはずのクラスメイトから、準備に来たのはたったの4人だった
「同窓会を開くって言いだしたやつ自体が来ないなんて」
俺だけは、同窓会を開くと言い出したやつから準備を直接頼まれた。もし、誰も来なかったら俺一人で準備しなければならないところだったのか? もしそうなら、同窓会自体を中止にしろ
押しに弱い俺の性格を知っているから、押し付けられたのか
「ふぅ、疲れたな」
「ああ、まさかほぼ1日まるまる準備にかかるとは思わなかった」
「暗くなってきたし、飯でも一緒に食うか」
俺達4人は、苦労を分かち合ったので、小学校の時よりも仲良くなった気がして一緒に飯を食いに行くことにする
その時
「せんぱーい」
俺達を先輩と呼ぶ、小柄な少年が走ってきた。俺は面識が無いので、他の3人の知り合いだろうか?
「先輩、噂を知っていますか?」
「噂? 何の噂だ?」
「最近、ひそかに人間に寄生する寄生虫が増えているそうです」
「都市伝説か何かか? ニュースでも聞いたことがないぞ」
「まだ、ニュースになるような被害が出ていないからかもしれないですね。そして、寄生虫に寄生された人は、しっかりとした建物に向かうそうです。そして――」
「あ、俺ちょっとトイレに行ってくるわ」
俺は、突然尿意を感じ、トイレに向かう。少年の話がまだ聞こえるが、何を言っているのか分からないくらいには離れた
戻ってくると、少年以外誰も居ない。一緒に飯を食いに行こうって言ったのに、待てずに行ったのか?
「なあ、みんなどこへ行ったのか知らないか?」
「知っていますよ」
「それなら、教えてくれ。どこに行ったんだ?」
「体育館です」
「体育館? それは何故だ? そこに行っても何も無いだろ?」
「いえ。体育館が一番しっかりした建物なので」
「あ?」
意味が分からず、思考停止に陥っていると、少年は俺の首をポンと触れる
「何だ?」
「寄生虫なんですけど、なんでも人から人に移るそうです。ただ、親虫に寄生されている人は自覚が無いらしくて。だから、気を付けた方が良いですよ」
少年は、そう言うとどこかへ走っていく。そいつの首の後ろから、細い白い糸の様なものが出ている気がした
呼び止めようと思ったが、俺は何故か体育館へ行かなくてはいけない気がして、体育館へと向かった
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