第784話 霊界ラジオ

俺は金一。俺には銀二という弟がいた


弟は事故で死んだ。バイク事故だった


慣れない運転で、スピードを出し過ぎたからだと警察から言われたが、本当かどうかは知らない


ただ、唯一の肉親である弟が、電信柱にぶつかって死んだことだけは事実だ


そして、俺は何でもいいから弟と話したいと、オカルト掲示板を読み漁った


その中で、効果がありそうなものを片っ端方試していった


今のところ、効果があったものは一つもない


今夜、次のものを試すつもりだ


「……出来た、霊と話せるラジオ」


古い壊れたラジオを中古ショップで探し出し、中にネットにあった色々なものを組みこんで作ったものだ


さっそく電源を入れるが、何も聞こえない。また失敗なのか?


「散歩でもするか……」


1時も過ぎ、真っ暗な夜道を歩く。すると、ラジオからザザザッと音がし始めた


「場所が関係あるのか?」


音がクリアになる方角には、墓地があった。まさか、本当に弟と話せるのか?


俺は急いで墓地に向かう


「ザザッ……キン…………ハ……ニ…サン……」


「銀二!」


声は全く銀二とは思えないほど暗く、静かな声だった。だが、俺の事を兄さんと呼ぶのは銀二しかいない


しばらく音がしなくなっていたが、墓地に着いたとき、またラジオから声が聞こえてきた


「キンコノバンゴウハ 2、3、8、1」


「は? 金庫の番号?」


家には金庫がある。両親が残したもんだが、番号が分からなかったので今まで開けた事も無い


「兄さんじゃなくて、2、3かよ……」


また偽情報だったのか……


そして、何かが切れたかのように、ラジオはそれ以来音が鳴ることは無かった


ただ、何故俺の家の金庫の番号が流れたのかは全く分からないが

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