第780話 2階建ての工場2
同僚から、エレベーターの不思議話を聞いた
そこで俺はそいつに聞いた
「2階で2階のボタンを押して1階の不思議空間に繋がるのなら、1階で1階のボタンを押したらどうなるんだ?」
「馬鹿野郎、怖かったんだぞ。そんなもん、試すわけ無いだろ。今だって、必ずボタンを確認して押してるってのに」
「怖がりだな。俺も話を聞いて2階で2階のボタンを押したけど、ランプすらつかなかったから嘘だと思ってるくらいだ。疲れてて夢でも見たんじゃないか?」
「じゃあ、自分でやれよ」
同僚は、怒ってどこかへ行ってしまった。まあ、どうせまたランプすらつかないだろうと思いつつも、エレベーターに入る
「じゃあ、1階のボタンを押しまーす」
誰も居ないけれど、そう宣言して1階のボタンを押した。しかし、ランプはやはりつかない
「ほら、何も起きな――」
そう思った瞬間、ドアが閉まり始めた。俺は、嫌な予感がして扉の隙間に体を滑り込ませた
何とか通り抜けることが出来たが、靴が片方脱げてしまった
エレベーターが動く音がする。しかし、2階へ行った様子は無い。地下は無いから、どこに動いたのか分からない
しばらくすると、エレベーターが止まった。このエレベーターは、誰かがボタンを押さないと開かないはずなのに、ボタンも押していないのに勝手に扉が開く
そして、中にあった俺の靴が、まるでナイフを何回も突き立てたかのようにボロボロになっていた
俺はその日から、そのエレベーターに乗る事が出来なくなった。不思議な体験をしたにもかかわらず、いまだにきちんとエレベーターに乗って仕事をしている同僚の事は尊敬している
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