第757話 目的は?
深夜、2車線の道を車で走っていた
信号はすでに点滅しており、車の量も少なく、ほとんどすれ違う事すらない
ある角を曲がった時、1台の白い車がハザードをたいて道路に停めていた
しかし、それは片側の道の真ん中と言う、どう見ても道の端へ寄せて停めましたという感じではない
追い越し禁止ではないので、そのままウィンカーを出して追い越す
すると、俺が追い越し終わったあとにハザードが消え、発進してきた
「げっ、変な言いがかりをつけてくるやつか?」
人の事は言えないが、こんな深夜に、こんな人気のない場所に居る時点で何か怪しい
煽って来なければいいが……そう思っていたら、意外にもスピードは出ていない
法定速度40キロの所を、35キロくらいで走っている様で、法定速度で走っても徐々に車間が開いて行った
「気のせいか」
しかし、ほっとしたのも束の間で、点滅していない場所の赤信号に引っ掛かるたびに追いつかれる
信号待ちをしている間、後ろの奴が降りてこないか不安になる。フロントにも、こちらから見えないように何か細工がしてあるようで、どんな奴が乗っているのかも全く見えない
「家の方向とは違うけど、曲がるか」
普通なら通らないような道へと曲がる。すると、後ろの車も何故かそこで曲がってきた
いよいよ嫌な予感がして、振り切ろうと思ったが、先週に通行禁止の場所へ入って切符を切られたばかりだ。万が一、パトカーにでも見つかれば講習会行だ。それに、違反金も痛い
苦渋の選択で、ゆっくり走り、信号が赤に変わるぎりぎりでスピードを出して振り切った
もし、俺についてくるつもりなら赤信号を無視してでも追いかけてくるはずだ
けれど、普通に信号で止まったので、気のせいだったらしい
「なんだよ、まぎらわしい」
俺は改めて家へと向かう道へと変更した
しばらく走ると、家の方向からさっきの車が走ってきた。あのフロントガラス、間違いない
さっきの信号を曲がれば、確かに俺よりも早くこの道へ来ることが出来るが、わざわざこの道を通る理由が無かった
すれ違いざま、気になったのでサイドミラー越しに車を見る
その車の後ろのガラスに、べっとりと顔を付けた老人が映っていた
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