第754話 罠

ある家へ空き巣に入った時の話だ


金がありそうな高級住宅街。そのうち、人目につきにくい家を選んで侵入する事にした


玄関が開いていれば一番良かったのだが、そんな家は最近無い。それどころか、ロックが2つある方が多いくらいだ


だが、2階まで厳重にセキュリティ対策をしている家は無い。見た所、防犯カメラも無い


簡易梯子を使って2階へと上がる。音を立てないように窓を割り、空き部屋の一つに侵入成功


そして、静かにドアへと移動したところ


「イツッ」


何かを踏んだ。あまり明かりをつけたくないが、ミニ懐中電灯で足の裏を見ると、画びょうだった。音を立てないように、靴は脱いでしまっていたのがあだとなった


(運が悪い。ちゃんとかたずけとけよ)


血が付いたものを残すわけには行かないので、ポーチの中に放り込む。ガムテープを足に巻いて止血


よし、廊下へ出ようとドアノブを握る


(ここもかよ!)


声を出さずに済んだが、手を開くとドアノブに画びょうが張り付けてあった。ご丁寧にも見えない下側に。これは、完全に準備された罠だろう。空き巣に入られた事でもあるのか? こんなんをずっとやってたら、空き巣に逢う確率より自分が忘れて被害を受ける可能性の方が高いだろうに


ドアノブの画びょうも回収する。正直、もう帰りたくなったが何もなしで帰るわけには行かない。この部屋には、金目の物が全く無いし


廊下に出ると、当たりを見回す。いくつか部屋があるが、とりあえず何の部屋か確認するしか無いだろう


一番近い部屋に入ろうと、ドアノブを見る。ここには画びょうはつけて無いようだ。そう油断したのが悪かったのか、ドアを開けた瞬間……バチンッ


「ぎゃあ!」


とうとう叫び声をあげてしまった。ネズミ捕りが丁度足に挟まった。慌ててはずす。人の気配は無いが、叫び声のした場所を確認しにくるだろう


俺は何も取らずに再び窓から逃げた


後日、俺が侵入した動画がネットに流れていたことを知った。なぜかは分からないが、目に線を入れてあったので一目で俺だと分からないようにしてあった


一体、何が目的だったのだろうか

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