第722話 保育園

私が会社に向かう道には、保育園がある


いつもなら、私が会社に行く時間が早いため、道から見える部屋には幼児がいない


ある時、健康診断にひっかかって近くの病院で精密検査を受けた後、遅刻で会社に行くときがあった


入社してから今まで、遅刻なぞした事なかったが、健康診断は必ず受けなければならないので仕方がない


「のんびり歩くか」


まだ昼休み中なので、慌てる必要はない。ふと、保育園の部屋が見えた


「今の時間はお昼寝の時間なのか。並んでいる布団を見ると、修学旅行を思い出すな」


足を止め、その光景をしばらく見ていた


園の先生たちも、今の時間は休憩なのか、部屋には見当たらなかった


「そろそろ行くか」


数分見ていただろうか、さあ、会社に向かおうと足を横に向けた瞬間


すべての園児が、急に起き上がり、笑顔でこちらを向いた


笑顔のまま微動だにしない園児。一瞬、寝ているんじゃないかと思ったが、全員こちらを向く意味が分からない


足早にその場を去り、今後、昼の時間帯はこの道を通るのは止めようと思った

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