第669話 手を引く
私が3歳くらいの時の記憶です
私はおばあちゃんっ子で、よく祖母の家に遊びに行っては祖母に手を引かれて近所を散歩するのが好きでした
公園へ行ったり、誰かの畑を見たり、綺麗な庭を見たり、飛んでいる蝶を追いかけたり
父も母も、日中はずっと仕事へ行っていて、両親がそろうのは夜の9時頃だったでしょうか
料理も祖母が用意してくれ、夜の8時にはほぼ祖母に添い寝してもらって寝ていたと思います
そんな祖母が亡くなりました。老衰では無かったと思いますが、どうだったでしょうか
覚えているのは、ベッドの上で横になったまま起きない祖母に「起きて、ばあちゃん。散歩行こう」と話しかけている場面と
通夜の時、誰かに手を引かれて真っ暗な廊下を歩いている記憶です
ひたすら私の手を引く手。私の記憶には肘より先の手しか覚えていませんが、祖母の手だったと思います
それが、ずっと、ずっと廊下をひたすら手を引かれて歩く……もしかしたら、夢だったのかもしれません。いいえ、祖母の通夜なので夢だったのでしょう
ただ、私の事を心配して引っ張っていってくれていた……そんな気がします
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