第664話 女性専用車両
「ふあぁーあ。久しぶりに徹夜したわ」
私は隠れオタクだった。会社では真面目なOLで通っているけれど、家ではオタク全開で、今日の朝までブルーレイを見続けていたのだ。私の王子様ってやっぱりいつみてもカッコイイ!
私はうつらうつらとしながら、アニメを脳内再生していた。すると、お尻に何か触れるものがあった。手とは違う、もっと柔らかい何かだ。例えるなら、巨大カエルの舌みたいな?
私は寝ぼけているのだろうか、寝ていないのに。ここは女性専用車両なので、痴漢という事は無いと思う。通勤ラッシュとはいえ、ここはギュウギュウ詰めになるほど混んでも居ない
私は寄り掛かった手すりから少し体を上げ、後ろを確認する。相手が女性の痴漢の可能性がある
「あれ?」
私が振り向く寸前まで、私のお尻に触れていたものが、振り向いた瞬間消えた
(気のせい? それにしては、リアルすぎたけど……)
私が自分のお尻を触ると、ねちょっとした液体が手についた
「なにこれ!」
私の声に付近の人たちが振り向く。私は手を拭きながら何でもないと苦笑いで返す。周りの女性も、痴漢が出たとは思っていないようだ
私は場所を変えた。何かは分からないけれど、何かわからないからこその恐怖がある
私の眠気はあっさりと吹き飛んだ。そして、周りを警戒し、壁に背を向ける格好にした。これなら、後ろから誰かが触るという事も絶対にない
「ひっ!」
そう思った瞬間、私のスカートの中に入り込む何かがあった。私のパンツをペロリと舐めるような感触があった。私はすぐにスカートを押さえて座り込む。周りに居た人たちが訝しげに見るけれど、その人たちから見ても私以外に不審なところは無いようだった
しばらくして、立ち上がる。そして、スマホを録画状態にして背中に持つ
もうすぐ、会社のある駅に着くというときに、もう一度私のお尻を触る感触があった。すぐに振り向くけれど、相変わらず何もない
駅につき、すぐに電車を降りてトイレに入る。そこで服についた粘液を処理しつつ、動画を確認した
そこには、床から腐った腕とそれに掴まれたウツボが生えてきていた
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