第652話 非現実的

これは作り話です……と言えたらどんなにいいか


信じられるかどうかはお任せします。夢でも見たんだろうと思われればそれでもいいです


私は、気が付くと知らない道を車で走っていました。時間は、会社からの帰宅時なのでそんなに遅くない時間だったと思います


左右が見通しの悪い木々で覆われ、道はちょうど車が1台走れるかどうかという狭さ。実際、ときどき道へはみ出ている蔓のようなものがフロントガラスに当たります


「……なんでここにいるんだっけ」


そう思いつつも、前へ進みます。なぜなら、だんだんと坂になっていてバックで戻るのが難しかったからです


しばらくすると、黒いトンネルがありました。それも、山へ入るトンネルではなく、トンネルだけがそこにあると言えばいいのでしょうか


ただ、中に光は全く入らず真っ暗で、何かが覗いているのではと考えると背中がぞわっとしました


私は車の後方を確認します。トンネルに入るより、ぶつけるかもしれないけれどバックで戻る方がマシだと考えました


「な、なんで」


しかし、後ろに道は無く、すべてが木々で埋まっていました。仕方なくトンネルへ入ろうとしましたが、狭くて車では入れません。なので、降りて入りました


しばらくすると、急に体が重くなり、動けなくなりました


そして、目を覚ますとベッドの上でした。私は道端に倒れていたらしいのです。車は、近くの路肩に停められていたそうです


当然、私の会社の近くや帰り道に、そのような森やトンネルはありません

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