第599話 見上げる

その日、特別なことがあったわけではない




普通に、晴れた日曜日のお昼ごろだった




僕は2階でゲームをしていた




「そろそろ休憩するか」




朝起きてからぶっとおしでゲームをしていて疲れた僕は、休憩がてらに洗面所へ行った




僕の家には1階にも2階にもトイレがある




だから僕は2階のトイレへ入った。普通に近いからだ




トイレから出るとすぐに階段がある




ふと、下を見ると、妹が上を見上げていた




妹はいつも笑っていて、快活な性格なのだが、そのときはなぜか無表情で2階を見ていた




その姿に、僕は声をかけることが出来なかった




「おばあちゃん……」




妹は、それだけ言うとどこかへ去っていった




それからしばらくして、親戚のおばあちゃんが亡くなったと連絡が入った




妹には、何かが見えていたのだろうか




聞いても、覚えてないとしか言わないが

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