第560話 寝相

うちの妻の寝相が悪い




ある夜、ふと目を覚ますと、ベッドに寝ている妻が目に入った




一緒の部屋で寝ているから当然であろう




そして、しばらく見ていると、妻の首が急にカクンと折れた




次の瞬間には反対方向にカクンと折れる




まるで首だけで飛んでくるボールを避けるかのようにカクン、カクンと動く




目をつぶっているので、運動をしているわけではないだろう




例え運動をするにしても、こんな夜中に、それもベッドの中でするものでは無い




動くのは首だけなので、布団がめくれたりするわけではないので今まで気が付かなかった




その奇妙な行動は数分間続いたが、ある瞬間でカクンと動かなくなった




それから全く動かなくなったので、逆に怖くなってゆすってみる




すると、妻は目を見開いた




「なんでもっと早く起こしてくれないのよ!」




急に怒られた




いわく、天井から黒い靄の様なものが顔に降りかかってきたので、それを避けていたらしい




体は金縛りで、首だけが動く状態だったらしい




でも、俺にはそんな靄なんて見えなかったから仕方ないじゃ無いか




結局、今日は場所を交代して寝る事になった




すると、妻の言う通り、体が金縛りにあって、首だけが動く状態で天井から黒い靄が降ってきた




顔にかかるまいと避ける




(妻よ、俺を起こしてくれ!)




しゃべれないので妻に願う




しかし、妻は寝ていた




次の日、俺が怒ったのは言うまでもない




なお、原因は不明だが、天井にポスターを貼ったら靄は降りてこなくなった




金縛りにはたまに遭う

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