第546話 自殺の名所?

ネットで調べた自殺の名所




そのうち、近くのビルがそうだということが分かった




しかし、そんな事件があったことなど全く知らない




ニュースにすら上がらず、一体どうやって自殺をしているんだろうか?




ただ確かな事は、そこへ自殺に行って帰ってきた人が居ないという事だから、今のところ死亡率が100%という事だろう




未練の無い自分としては、確実にこの世からおさらばしたいところだ




とりあえず、目立たない程度にカバンにロープやナイフ等を詰める




そのビルは、ただのビルだった




無人ではあるが、ぼろいとかいう事は無い




部屋は4階にあるらしい




4階と死をかけているのだろうか? だとしたら笑えない




4階の404室




扉はきっちりと閉められていた




取っ手に手をかけてゆっくりと押していく




鍵は閉められていない




さて、中はどうなっているのか……




「いらっしゃい」




私はびっくりして開け始めた扉に手をかけたまま固まる




「ああ、驚かせてしまったか。大丈夫、ここは君が望んだ部屋だよ」




「……あなたは?」




「私は、介錯人さ。死にきれないのは嫌だろう?」




ああ、そういう事か




この人が死ぬまで看取ってくれる。そして、死体もこの人が片付けてくれるのか




そう思ったら、すんなりと部屋に入れた




「で、どうやって死ぬつもりだったんだい? ここにもいろいろと用意してあるよ。おすすめはロープかな?」




見ると、大きな包丁やなんやらとおどろおどろしいものが大量に置いてあった




「……苦しいのは嫌なので……」




「ナイフはあまりお勧めしないよ。急所を外したらなかなか死ねないし、何より部屋が汚れるからね」




「それなら……ぐあぁっ!?」




いつの間に入ってきたのか、俺の後ろに男が立っていた




そして、そいつが俺の首をロープで締め上げる




「あ……あ……」




苦しいのは嫌だと言ったのに……しかし、意識が遠のいで思ったより苦しくは無かった

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