第539話 乳しぼり

牛の乳しぼり体験にやってきた




北海道の広い農場で、放牧されていた牛が牛舎へ帰ってくる




そして、自然の草をいっぱい食べて栄養豊富な乳を出すのだ




自分の他にも家族連れや青年、お手伝いの近所の農家さんに、ここの主である畜産農家さん




普段は乳首に機械を付けて吸い取るらしいが、今日は体験という事で手でも乳しぼりができるそうだ




さて、この大きな牛にしようかな……




「ママに近づくな!」




急に子供の声がした




あたりをみると、家族連れの子供が居るが、その子では無さそう




他には子牛が居るが、まさか……




その子牛を見ながらもう一度乳牛へ近づく




「近づくなって言ったろ!」




俺の耳がおかしくなったのでなければ、子牛がしゃべってる……?




「あの……あの子牛は?」




「ああ、この大きな乳牛の子ですよ。乳が出るって事は、子供を産んだって事ですからね」




予想していたのと違う答えが返ってきたので、あの子牛がしゃべっているわけではないのだろう




それならだれが? と思ったところで、牛の陰に小さな虫が貼り付いているのが見えた




よく見ると、ただの虫ではなく、人の顔がついていた




妖精という様な可愛いものでは無く、人面虫とでも言えばいいのだろうか




これが声の正体か……




そう思った瞬間に興味が無くなった




無事、他の牛で乳しぼりをする事が出来た


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