第537話 触るな

修学旅行で運の悪い高校生が居た




5人グループで、男3人、女2人だったため、男一人だけ気まずい雰囲気になっていた




それを払しょくするために、京都の心霊スポットを調べ、肝試しを提案した




ほぼグループ分けができていたが、男2人も何かさらに触れ合えるイベントを欲していたため、肝試しはすんなりと承認された




「で、この岩がいわくつきらしいんだよ」




「岩だけにか(笑)」




「ちげーよ!」




下らない会話の応酬に雰囲気はなごみ、さっそく肝試しをすることにした




「ネットでは詳しくかいてなかったんだけど、この岩に触れたやつがなんか怪我したりするらしい」




「なんだそれ、適当だな。他に何か無いのか?」




「えっと……あ、あった。なになに、何回か触れると祟りがある?」




「お、それは面白そうじゃん。じゃあ、順番に触ってみて試してみようぜ」




まずは男が3人続けて岩に触れる。何も起こらない




次に、女が岩に触れる




「え? 何か言った?」




「ん? 何も言ってないよ?」




その女は、きょろきょろと辺りを見回したが、気のせいだと胸をなでおろした




次に、もう一人の女が岩に触れる。何も起こらない




「じゃあ、2回目いくぞ?」




「あ、じゃあ今度は私達が先でいい?」




「別にいいぜ」




女2人が先に岩に触れた。何も起こらない




次に男が触れる。何か、亀裂が入ったような音がした




「何かピシって言ったか? っても、岩に当然亀裂なんて入ってないよな」




次に男が触れる




その瞬間、地面から骨の手が現れて、男を地面に引きずり込んだ




「じゃあ、そろそろ帰ろうか」




「そうだな。なんか忘れてるような気がするけど」




4人は、何事も無かったかのように肝試しを終えて帰る




最後の一人、唯一2回触れなかった男だけがこの事実を知っていた


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る