第519話 白い石

駅のホームで電車を待っていた時の事




隣の人が風邪でも引いているのか、くしゃみをしていた




「はくしゅん!」




それを気にする人はほとんどいなかったが、俺はひまだったのでその人を見ていた




「はっくしゅん!」




さっきよりも盛大にくしゃみをした




すると、鼻から何かが見えた




(鼻水か?)




そう思ってみていると、その人はちり紙を出して鼻をかんだ




しかし、鼻からでているものは取れていなかった




「はっ、はっ……」




花粉症なのか、もう一度大きなくしゃみをしそうだ




「はっっっくしゅん!」




その瞬間、さっき鼻から出ていたものが飛び出してきた




それは、白い3cmくらいの石に見えた




そして、くしゃみをしたひとはバタリと倒れた




俺は瞬間的に




(あの石はあの人の魂だ!)




そう思って、急いで石を拾う。掴んだ感触はグミのようであった




これをどうするかと悩むうちに、がやがやと人が寄ってきた




(えーい、あった場所に戻すか)




俺はその人を抱き起すふりをして石を鼻に詰め込んだ




すると、その人はパチリと目を開けた




「……あっ、すいません」




そう言ってその男性はむくりと起き上がり、周りにぺこぺこ頭を下げながら去っていった




それ以来、俺はくしゃみをすると自分の鼻が気になるようになった

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