第516話 古民家再生
ある井戸があった
そこは既に水が出なくなって使われていない古井戸だ
ある日、古民家再生ということで、誰も住まなくなった古い建物をリフォームし、外見は古いままで中身は最新の建物として売りに出された
その際、庭にあった古井戸は放置されていたそうだ
東京で定年を迎え、余生は田舎で暮らしたいと思っていたある男性がその建物を購入した
中身は揃っているのですぐに居住可能であった
住んでいたアパートを引き払い、さっそくそこに住むことにした
夜、ベッドで寝ていると、床下からカサコソという音がする
まあ、田舎だしそういうこともあるだろうと気にしていなかった
しかし、数日たち、さすがに気になってきたので床下を調べてみた
特段おかしなところはなかったが、床板にひっかいたような傷がついていた
「ハクビシンか何かが住み着いているなら嫌だな……」
そう思った彼は床下に防犯カメラを仕掛けた
もし、そういう動物が映っていればすぐに罠を仕掛けるつもりだった
その日もカサコソと音がしたので、次の日にビデオを再生してみた
すると、夜になると白い何かが床下に入ってくるのが見えた
「まさか……骨か?」
白い何かは匍匐前進をする骨に見えたが、よくよく見ると違っていた
それは白い虫のようだった。それが塊となっていたので骨に見えていたようだ
それが床下につくと、カサコソと床板をこすり始めるようだった
すぐに虫が来た方向を調べると、そこには古い井戸があった
はしごを使って下に降りてみると、白い虫が見えた
「さっさと駆除するか……」
何の虫かは分からなかったが、ここに殺虫剤でも放り込めばいいだろう
そう思っていたのだが、何かを察したのか、虫たちはカサコソと逃げ始めた
虫たちが居なくなった場所にまだ白い何かが残っていた
一瞬、フンか何かだと思ったけれど、よく見ると小動物の骨のようであった
あとで聞いた話では、この家で飼っていた猫が、いつの間にかいなくなった事件があったそうだ
その猫は、家主に餌をねだる時、床板をこする癖があったそうだ
それと虫が関係あるかどうかは分からないが、床下におもちゃの餌を置くと音はしなくなった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます