第501話 マスク
クラスにずっとマスクをしている子が居る
最初は風邪かなと思ったんだけど、もう1か月はマスクをしたままだ
「どうしてマスクをしているの?」
「ちょっとね……」
彼はそう言ってマスクを外さない
体育の時も、音楽の時も、給食の時は一人だけで別の部屋で食べている
ある日、いじわるなやつが彼のマスクを盗った
みんな、悪い事だと思いつつも、いつもマスクをしていたのが気になっていたので何も言わなかった
マスクの無い彼の顔は普通だった。別に口が裂けている訳でも、にきびが出来ている訳でも、たらこ唇でもなかった
「なんだ……ただマスクしてるだけか」
みんな一気に興味がなくなった
彼はポケットから予備のマスクをとりだすと、マスクをかけた
「おい、なんでずっとマスクをしているだよ」
「知らない方が良いよ」
だけどある日、いじわるなやつが彼を呼び出した。何かが気に食わなかったらしい
次の日、いじわるなやつがマスクをして登校してきた
代わりに、彼はマスク無しで登校してきた
「どうして急にマスクをしなくなったの?」
僕は気になって聞いてみた。すると彼は、絶対誰にも言うなよと訳を話してくれた
「舌に口が出来ていたんだ。けれど、いじめっ子に噛みついたらあいつに移ったらしい。だから、あいつに噛まれないように気を付けろよ? あいつはまだ何で舌に口が出来たのか分かってないからな」
そう言って彼は大きな口を開けて笑った
すると、彼の口の中に口が見えた気がした
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