第489話 革靴

靴を履き間違えて帰ってきてしまった




老人会で旅館へ行った時の事




60以上の男性で30人程での懇親会が開かれた




場所は旅館の大広間だったので、靴を脱いで上がる




当然、酒を飲み、カラオケを歌い、3時間ほどがあっという間に過ぎた




さて帰ろうと思って靴を見ると、はて、自分の靴はどれだったやら




みんな似たような靴を履いている上に、誰かがトイレにでも行くのに勝手に使ったのか、元の場所に靴が無い




酔っ払いのする事だから怒りはしない。どうせ記憶にも残っていないだろう




自分の記憶を頼りに靴を履いた




帰る時には1足も残っていないし、誰も自分の靴が無いと言い出さなかったので合っていたのだろうと帰ったのだが




女房に「あんた、なんで人の靴履いとるんや。返してき」と言われてしまった




次の日、知り合いを訪ね歩いたが誰も知らないという




実際、酔いがさめた今なら自分の靴を見れば分かる




結局その日は見つからなかったが、幹事から電話が入った




なんと、旅館に私の靴が置いてあったらしい




トイレに誰かが履いて行ってそのまま忘れてきたようだ。どおりで下足箱に無いはずだ




はて、それではこの靴はいったい誰のものだ?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る