第471話 サンルーフ

ドライブをしていた時の事だ




私の車にはサンルーフがついている




サンルーフは、普段使わない時は光を通さないようにカバーされている




夜の11時。天気が良く、星が綺麗だったので山の方へドライブすることにした




街の光が薄れ、夜空が良く見えるようになってきたころ、少し開けた場所に車を停めてサンルーフを開いた




車の中で横になり、サンルーフから夜空を眺める。これなら、虫にくわれなくて済むのだ




しばらくボーッと夜空を眺めていると、サンルーフに――




ドサリッ




と人の顔が落ちてきた




「うわぁっ!」




びっくりして飛び起きる。すぐに外へ出て車の屋根を見るが、そこには何も居なかった




すぐに車に戻り、エンジンをかける。すぐに家の方へ向かった




信号待ちをしていた時、ふいに視線を感じてサンルーフを見ると、カバーをしていないサンルーフから黒い影が覗いていた




俺は直ぐにサンルーフを閉める。すぐ後ろに居た車からクラクションが鳴らされた




見ると、信号はすでに青に変わっていた




すぐに車を発進したが、後ろの車は付いてくる




煽り運転だろうか? そう思って減速し、路肩に車を停めると、後ろの車も路肩に停める




「これは本当に因縁を付けられる……?」




そう思っていたが、降りてきたのは温厚そうな50代くらいのおじさんだった




「大丈夫かい? 何か黒いものが車に入り込もうとしていたから、ついクラクションを鳴らしちゃったよ」




おじさんは私の車の座席を見て、何も居ないと納得すると、自分の車に戻った




俺も車に戻り、タバコを1本吸ってから発信しようとのんびりしていたら、先に後ろのおじさんの車が進んでいった




その車の上に、黒いものが見えたような気がしたが、俺はクラクションを鳴らす勇気が出なかった

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