第462話 蜘蛛の糸
クラスで一人、異様に蜘蛛を嫌う奴が居た
そいつから聞いた話だ
都内に、廃ビルがいくつかあるが、大抵は立ち入り禁止になっている
そいつは、何を思ったのか、廃ビルの中に忍び込んだらしい
本人は単純に興味本位で、一階から一番上の階へと順にみていくだけのつもりだったらしい
そのビルは、8階建てで、1フロアは80平方メートルくらいと、広いのか狭いのかは俺には分からない
そして、そいつは8階についた時、ひとつの部屋に目が行ったらしい
異様に豪華な扉。本人は絶対に社長室だと思ったと言っていた。そして、できごころで何か金目のものは無いかと思い、中へ入ったらしい
中は、外はまだ明るいにも関わらず、窓が封鎖されて真っ暗だったようだ
「ちっ、懐中電灯でも持ってくればよかったぜ」
そして1歩中へ入ると、顔に何かかかった
「うわっぷ……蜘蛛の糸?」
一瞬髪の毛かと思ったらしいが、入り口からわずかに入る光に反射して、きらきらとした糸だったらしい
暗さに目が慣れてくると、中央から左寄りに豪華な椅子、右にはソファーが置いてあったそうだ
「廃ビルなのに、持ち出してないんだな。もしかして、金になるのか?」
だが、一人では持ち運ぶには大変そうだ。8階もこんな大きな椅子を背負って降りるのはそれこそ骨が折れる
豪かな椅子の後ろには、この部屋に似つかわしくないロッカーがあったそうだ
よく、学校にある掃除用具入れと言えばいいだろうか
そこにも何か入ってないかと思ってそいつはロッカーを開いた
「ひっ!!」
開けた瞬間、白い何かが倒れて来たらしい。とっさによけたものの、バランスを崩して尻もちをつく。そして、横にどさりと何かが倒れる音
その倒れたものから、わらわらと蜘蛛が散っていったそうだ
「うわあぁぁ!」
体に寄ってきた小さな蜘蛛をはたいて散らす。しばらくバタバタと暴れていたら、蜘蛛たちはどこかへ行ったらしい
そして、改めて倒れたものを見ると……それは成人男性とみられるミイラだった
「まさか、蜘蛛が人を……?」
その瞬間、天井からドサリと、異様に大きな蜘蛛が降ってきたらしい
本当かどうかは分からないが、そいつは全長1mはあったと言っているが、そんな大きな蜘蛛は日本に存在しないだろう
そいつは、蜘蛛に襲われると思って慌てて階段を下りて逃げて来たらしい
話は終わったとばかりに、そいつは踵を返して帰っていった
すると、何か光るものが見えた。そいつの体から、蜘蛛の糸がキラリときらめいていた
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