第453話 叫び声

「お願いします! 助けてください!」




悲痛な叫び声が夜の街に響く




声から、20代くらいの若い女性だと思われた




しかし、その声からは緊急性は感じられず、むしろ頭を下げてお願いをしているような、そんな声だった




誰に向かってかけられたものかは分からないが、声のした方へ向かった




そこには1台の車があった。エンジンがかかったまま放置されている




運転席を覗くが、誰も居ない。一応後ろの席を見ると……座席が血で濡れていた




俺はすぐに警察へ電話した




警察はすぐに対応してくれたが、この車の持ち主である女性は見つからなかった




それからしばらくしてニュースになった。そのニュースでは、車内の血痕は車の持ち主である20代の女性のものらしい




血の量から言えば、致死量だったらしい




俺は声が聞こえてから数分もしないうちに駆けつけたはずだ




だけど、あの付近に人を見た覚えはない。さらに、後部座席以外からは血痕は見つかっていないので、車外に出た様子は無いという事だ




1年たち、女性はまだ見つかっていない。しかし、あの付近では「お願いします! 助けてください!」という声を聞く人が後を絶たなかった

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