第418話 箱の中身
こんにちは、山内花林です。
公園へ遊びに行った時の事です
友達と3人で遊んでいた時、20代くらいのお兄さんが近づいてきました
お兄さんは、お腹の前に箱を構えていました
「ねえ、君たち、ゲームしない? 当てたら豪華賞品がでるよ」
その言葉に、友達2人は「わぁ」と声を上げて近寄っていきました
私は少し嫌な予感がしたのですが、友達を放って帰るわけにも、止めて不評を買うわけにもいかず、流れに任せていました
「この箱の中身を当てることができたら勝ちだからね。3人のうち誰が当てても大丈夫だよ」
そう言われて箱を見ると、どこからも中身を見る事が出来ないように密閉されています
友達が「私が当ててあげるから」と言って箱に手を入れました
「何これ? 食べ物? ウィンナー?」
「ぶーっ、外れだよ」
次に手を入れた友達は、前の意見を参考にじっくりと触れています
「どう? 分かったかい?」
「んー……、指?」
「あー、惜しいけど不正解!」
友達2人は、私の方を期待してみています。ここでやらないという訳にも行かず、おそるおそる箱に手を入れました
それは箱の奥の方にありました。触れた感じは友達が言った通り、太さは指くらいで、少し弾力があります。ただ、まるで温度を感じないそれは、まるで死んだ人の……
「ひっ」
私はそれに思い当たり、手をひっこめました
「どうしたんだい? 分かったのかな?」
「ううん、何か分からない……ごめんなさい」
「そう。それじゃあ、みんな外れだね。豪華景品は無しだ。それじゃあ」
そう言ってお兄さんは去っていきました
「もう、なんで答えないの? ダメもとでも何か言えばよかったのに!」
「そうそう、指で惜しかったんだから似たようなもの何か言えばよかったのに」
そう言って責められましたが、私の想像が合っていれば……
昔、亡くなった親戚のおじいちゃんの手を握った感触と同じだった……死人の手そのものだと
それを平然と箱に入れて持ち歩くあのお兄さんの言う、正解を当てた時の豪華景品とは何だったのでしょうか……
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