第383話 おじいちゃんが

最近、冷蔵庫の中の食材が減る気がする




もともと、計画性ない買い物をしていたので、安ければ買う、ある物で作るという感じだった




そのため、冷蔵庫の中に何が残っているのかは料理を作る時に確認するくらいだ




しかし、たまには自分の食べたいものも買う訳で、それが無くなっていたのだ




家族に確認したけれど、誰も食べていないという。そこで私は冷蔵庫の前にビデオカメラを設置した。家族からは「そこまでしなくても……」と言われたが、食べ物の恨みは怖いのだ




しかし、私はカメラを仕掛けたことを後悔した




再生すると、深夜、みんなが寝静まったころに誰かが冷蔵庫を開けるのが映っていた




しかし、それは何故か不鮮明で、冷蔵庫の明かりに照らされても誰だか分からない




背格好からして夫の様な気がするが、夫はカメラを仕掛けてあることを知っているはず……




そう思っていたら、同じような背格好の人に思い当たった




「おじいちゃん……」




夫の父が、それにあたる。そういえば、冷蔵庫を開ける時、両手で開ける癖はおじいちゃんのものだったかもしれない。おじいちゃんが居なくなってから数日たっている




おじいちゃんは痴ほう症で、数日前に出て言ったきりいくら探しても見つからないのだ




私は、おじいちゃんはもう、生きていないだろう……そう感じた

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