第378話 雪山登山

雪山登山をしていた時の事だ




登山サークルでの活動のため、男女混合で14人での登山だった




慣れない者を、ベテランが前後で挟み、歩いて行く




すると、中心に居た女性が、ふらふらと列を外れそうになる




「どこへ行くんだ?」




「えっ? だって、あそこに他の人達が……」




彼女の指さす方を見るが、誰も居ない。それに、いま歩いている道以外に、道は無い




「気のせいだろ? きちんと前を見て歩かないと迷子になるぞ」




一応ロープはあるが、それはあくまで握っているだけで、体に結びつけてはいなかった




しばらくして、吹雪になってきた




「急げ、山小屋まであと少しだ!」




みんなロープにつながり、先頭の人に着いて行く。小屋に入り、人数を数えると13人しかない




「……あの子がいない」




他の人が……と言っていた子だ。しっかりと見ていたつもりだったのに……いつの間に居なくなったんだ?




外は既に猛吹雪で、今から探しに行っても二次遭難につながるのは間違いない




驚いたことに、吹雪は1時間もしないうちに、嘘だったかのように晴れた




それから、みんなで付近を探し、居なくなったであろう場所まで戻ったが、見つからなかった




仕方が無いと、みんなですぐに下山する。すると、入山する入り口に、彼女が立っていた




「無事だったのか。急に居なくなってどうしたんだ?」




「え? ずっと前の人に着いて行きましたよ。この通り、ちゃんと下山したじゃないですか」




俺達は、山小屋に向かったのであって、下山はしていない。それも、あの道も見えないような吹雪の中、どうやって……




「それよりも、私がトイレに行ってる間にみんな居なくなるなんてひどいじゃないですか!」




そして、不思議なものだと思って帰る時に、気が付いた




いつの間にか15人になっている。しかも、誰が増えたのか全く分からなかった

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