第336話 ボウリング場

古びたボウリング場で友人たちとボウリングをして楽しんだ




駅前で久々に飲んで、少し時間が空いたので駅周辺をぶらぶらと談笑しながら歩いていたところ、ボウリング場が目に入ったのだ




「ボウリングなんて10年ぶりくらいか?」




「そうだな、学生の頃やったっきりかもしれないな」




「ほら、しゃべってないでお前の番だぞ」




スコアは手書きだが、靴貸し出しは無料、1ゲーム300円と財布には優しかった




「悪い、トイレに行ってくるわ」




「お前の番投げといてやるよ(笑)」




「ストライクなら文句ないぞ(笑)」




冗談に冗談で返し、トイレに向かう。その途中で他のレーンを見たが、夜も遅くなってきていることもあり誰も居なかった




トイレに入り、今時めずらしい和式の個室に入る




「投げるな、投げるな」




「なんだ?」




隣の個室からブツブツと独り言の様なものが聞こえた




「投げるな、投げるな」




何を投げるなと言うのだろうか。気味が悪かったのでトイレをするのをやめ、急いで友人たちの元へ戻った




「おまたせ」




「早かったな」




「変なやつがトイレに居て、結局できなかったんだ。このゲームが終わったら帰ろうぜ」




「そろそろ終電か。分かった」




俺はさっさと投げて帰ろうと、ボールを掴むと変な感触がした




見ると、俺は人の頭の目の部分と鼻に指をさしていた




「投げるな!」




「ぎゃー!」




気が付くと、俺達はボウリング場の外に居た。恐る恐るボウリング場の入り口を見ると、ドアにはチェーンが巻かれ、閉鎖された後だった

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