第334話 これは推理小説ではない

ある館で殺人事件が起きた




被害者の誕生日パーティ




様々な方面の著名人すらちらほら見える。数十人いる参加者全員が一室に集められ、順に事情聴取を受けている




容疑者は3名




どれも被害者に何かしらの負い目があり、被害者の60歳の誕生日を機に負い目を無くす、もしくは減らす目的でパーティに集まったのだ




一人は美容師。被害者のコネで様々な芸能人の散髪などを行っていたが、被害者のお気に入りの一人であった女優の髪型を失敗してひどく怒られ、それ以来仕事が激減し、恨みを持っていたのではないか




一人は人形師。被害者はカラクリ人形等に興味があり、面白いカラクリを仕込んでは被害者に見せていたが、被害者の孫娘がカラクリ人形が怖いと言ってから仕事が減ったため、恨みを持っていたのではないか




一人はスタントマン。昔、被害者のボディーガードもしていたほどであるが、仕事上のケガでボディーガードを外されて転職した。直接的な恨みは無いが、実は被害者に多額の借金があるのではないかという噂があった




被害者はパーティから一時休憩のために個室に入り、なかなか出てこなかったので親族が確認に行ったところ、後ろから背中を刺されて死んでいたようだ




使用された包丁は残されたままだったが、指紋は残っていなかった




現場には歯車が一つ転がっていたらしい。しかし、これにも指紋などは残っておらず証拠にはならない




結局、アリバイなどから3人とも直接犯行を行う事は不可能であったと判断された




ただ、昔、人形師の送った人形の一つがいつの間にか部屋から無くなっていたらしい


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