第325話 廃ビルで

廃ビルに忍び込んで遊んでいた




小学校の高学年にもなると、ちょっと危険な遊びをしてみたくなるものだ




友達5人と一緒に廃ビルに忍び込んだ




外からは全く誰が中に居るか分からず、ほどほど通りからも離れているので人通りもない




ビルは5階ほどで、バブルのころにたてられる予定だったが、バブルがはじけると共に壊されもせず放置されているらしい




なんか、更地にするより建物がある方が固定資産税とやらが安いらしい




賢い友達がそう言っていたが、俺にはさっぱりだ




最初は1階で鬼ごっこの様なものや、だるまさんがころんだで遊んでいたんだけど、ちょっと探検したくなったんだ




エレベーターはまだ設置されていなくて、階段で上にいく




2階は会議室の様な間取りばっかりで何もない




3階は小さな部屋と大きな部屋があり、小さな部屋は物置に使う予定なのかな?




4階は柱しか無くて、大ホールと言えばいいのかな




5階は、嫌に豪華な扉があり、偉い人が入る予定だったのかもしれない




まだ完成していないこともあり、特段見るものが無かった。そろそろ帰ろうかと思った時




「ぎゃあああー」




誰かの叫び声がしたから聞こえてきた




俺達は自分たちの人数を数えると、ちゃんと5人いる。叫んだのが俺達の誰かじゃないことに安心し、急いで4階へ降りる




すると、さっきまで何もなかった大ホールの真ん中に、大人の男の死体があった




なぜ死体かと分かったかと言うと、完全に首が取れていたからだ




「わあぁあー!」




俺達は急いでビルを飛び出す。そして、通りまで出て大人の人を呼ぶ。50代くらいのスーツを着た男性が、半信半疑でビルまでついてきてくれた




俺達は死体を見るのは嫌だったけど、案内しなければと思うほどには責任感があったようだ




「……で、どこに死体があるって?」




「さっき、ここにあったんだ!」




4階に着いた俺達がみたのは、やはり何もない4階だった




「ちっ、これだからガキは。くだらん遊びをしてないでさっさと家に帰れ!」




不機嫌になった男性に俺達は怒られた……。しょんぼりしてさあビルを出ようとしたとき




「ぎゃあぁあ!」




また悲鳴が聞こえた。しかし、俺達は振り向くことも無く帰ることにした

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る