第323話 着信
知らない番号から家に電話があった
一応携帯電話の番号ではなく、どこかの固定電話らしいので出てみることにする
「はい」
一応名前は名乗らない。下手に名乗るとオレオレ詐欺みたいなのに利用されかねない
「もしもし、株式会社〇〇ですが、エアコンなどの電化製品の修理はいかがでしょうか」
エアコンの修理……ちょうど室外機の調子が良くなかったところだ。固定電話ということもあり、詐欺の可能性は低いだろうとお願いすることにした
「ちょうど室外機の調子が悪くて、一度見てもらおうかと思っていたところなんです」
「わかりました。それでは午後から伺いますね」
すぐに見てもらえるという事で、今日がたまたま休みだったこともあり、午後に見てもらうことにした
ピンポーン
「株式会社〇〇です」
「お待ちしておりました、こちらです」
家の後ろに回り、室外機へ案内する
「すぐに様子を見て、見積もりを出しますのでこのままお待ちいただいてよろしいですか?」
「わかりました」
業者が室外機の外観を見て、カバーを外そうとする。ねじを外すのに結構もたもたしている、慣れていないのだろうか? そして、よくわからない機械を取り出す
「電流を調べる機械です。5分ほどお待ちください」
一旦飲み物でも取りに家に入ろうかと思ったが、業者はいろいろと質問してくる。他に調子の悪い機械は無いかとか、家族は何人かとか、間取りはどうかとか
5分ほどして機械がピピピッと鳴る。そして室外機のねじを慣れた手つきで戻していく。さっきのどんくささは嘘のようだ
「あとでポストに見積書を入れておきますので、またご連絡ください」
「見積書を書く間くらい待ってますよ」
「いえ、会社のハンコも要りますので、後で届けます。それでは」
そう言って業者は去っていった
後に空き巣グループだと判明した。ワザと外にある物を壊したり、部品を抜いたりして電話をかけ、外で作業している間に複数の仲間が家の中を物色し、それが終わるとさも調べ終わったかのように去っていく
当然、電話は会社のものではなく、見積もりも届いていない
ただ、不思議なことに彼らが去った後、携帯に知らない人から着信があり、泥棒だと教えてくれたのだ
午前中に契約したばかりの携帯で、まだ誰にも連絡先を教えていないのに
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます