第276話 絞殺死体
俺は死体の検視を行うのが仕事だ
普段から根回ししてできるだけ若い女性を優先的に回してもらっている
「今回は、絞殺死体か……」
苦悶の表情を浮かべている他、特段おかしなところは無いように見える
見たところ20代前半くらいだろうか。俺好みの容姿なので体を撫でまわす
「さて、そろそろ死亡推定時刻を割り出すためにも胃の内容物を確認するか」
ある程度満足した俺は胸の間にメスを入れようとする。その瞬間、ブレーカーが落ちて真っ暗になる
「近くに雷でも落ちたか?」
死体など見慣れているため特段恐怖は感じない。早く復旧しない物かと暗闇で思案していると、何かが動く音がする
ズリッズリッ
「な、なんだ?」
さすがに物音には驚いたが、目がまだ暗闇に慣れていないため何も見えない
ズリッズリッ ガッ
何かが俺の首を絞めてくる。まるで常温の粘土の様な……
「く、苦しい! やめろ!」
俺は持っていたメスをその手に刺すと、締め上げていた手が緩んだので引き離す
「何が!」
俺はその場から離れてドアを開ける。すると、電源が復旧したのか明るくなる
部屋を見渡すが、暗くなる前と変わった様子はない。死体も動いた形跡はないが……
「この傷は……?」
さっきは無かった手の傷に気が付く。刃物で傷つけたような跡は、俺の持っていたメスと……そこまで考えて怖くなり部屋を出て誰が他の人が居る場所へ行った
「はははっ、死体が動いたって? 死後硬直も終わっているだろうにどうやって動くんだよ」
「笑い事じゃないぞ。もし拘束が解けてなかったらどうなっていたことやら」
「そう言えば、最近犯人が見つかっていない連続殺人事件があるな。死因はすべて絞殺だから検視に回されたってやつか?」
俺は同僚を連れてさっきの部屋に戻る
「おっ、可愛い女性でよかったな。おかしなところは、死因である首のあざと……ん? 手を切り落としたのか?」
同僚に言われて女性の手を見ると、両手とも無かった
ズリッズリッ と何かが這う音がした気がした
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます