第262話 中古の携帯電話
ガラケーが製造中止となったため、中古ショップで携帯を買うことにした
別にスマホが嫌いというわけではないが、よく手袋をして仕事をするのでスマホでは反応しなくてめんどくさいためだ
スマホ用の手袋じゃすぐに油やススでダメになるしな
少しでも新品に近いものをと思い、少し他よりも高い物を買った
家に帰り、中を開けてみる
「あれ? 箱に描いてあるものと違うものが入ってらぁ」
店員が間違えたのか……まさか、買い取ってから中身を確認していないなんてことは無いよな?
でも、これ明らかに女物の色なんだよなぁ
明らかにピンク色で、人前で見せるには少し恥ずかしい気がする
しかし、ちょっと想像して、かわいい女の子が使ってたかもしれないと返す前に中身を見てみたくなった
普通であれば当然データなんて消去されているだろうが、どう見ても中身が違うから、店員が間違えて入れたのかもしれないと期待した
少し充電して電源を入れる。しばらくして起動すると、電話帳を見てみる
「……自宅だけ?」
家族の名前でもなく、「自宅」と登録してあるものが1件だけだ。通話ボタンを押してから思ったが、電話番号を先に見れば良かったと
一旦切るかと思った瞬間、家の固定電話が鳴りだす
「なんだ、変なタイミングでかかってくるな」
携帯の通話を切ると、家の電話も切れる
「え……なんで?」
俺は慌てて電話帳の電話番号を確認する。しかし、電話番号はバグっているのか、表示されない
震える手でもう一度携帯の通話を押してみると、やはり自宅の固定電話が鳴る
恐る恐る、自宅の電話の受話器を取る
「もしもし?」
「やっとでたぁ」
ひびわれた女性の声が固定電話から聞こえた瞬間、俺の持っていた携帯がバイブの様に震えた
「うわぁ!」
びっくりして受話器を取り落とし、携帯も落としてしまった
やべ、壊れたら返品できなくなると思ったのも一瞬で、床に落ちた携帯は尚も震えている
俺は固定電話の受話器を拾うと、電話を切った
「なんで切るのよ」
携帯から何故か声が聞こえた
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